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先週末は「ゲシュタルト療法」のグループに出ていました。
もう25年以上も前になりますが大学院でカウンセリングを学んだときに、
いろんな流派を学んだ中のひとつにありました。
しかしその時に見た「グロリアと三人のセラピスト」のフリッツ・パールズの
あまりのハードぶりと、グロリアさんの拒否反応ぶりに、
「ゲシュタルトは無理!」と勝手に思い込んだまま月日が流れ・・・
(あの1965年に作られたビデオの中では、来談者中心療法のソフトで
ジェントルマンで共感的なカール・ロジャーズばっかり良く見えました。
いまはそれ以降すなわち25年にもなる臨床経験があるので、治療者がしようとしていることと、
来談者この場合はグロリアさんの転移反応や治療抵抗の視点からもさらに読めるようなり、
三人の治療者や治療プロセスに対する意識が変わっているのを感じます)。
ファシリテーターは、日本からいらした百武正嗣(ももたけまさつぐ)先生でした。
ゲシュタルト療法と、フェルデンクライスという体の技法の療法を使っていらっしゃいました。
学んだのは・・・
1.ゲシュタルト療法のワークショップ、学ぶセミナーや演習の場所だと思っていたら、まるっきり「グループ」であったこと。と言うか、グループという設定でやるのがゲシュタルトでは当たり前のようなので、「百武先生の行なうゲシュタルト療法(グループ)」への参加でした。
2.ゲシュタルト療法ではサイコドラマのように、1人がクライエント役になって、ファシリテーターと対峙するのをグループが見守ること。必要によっては見守っているグループの人たちにクラインエントが自分で気づいた洞察や決意のことばを一人ひとりに言って回ったり、自分が疑問に思っていることが本当かどうかを聞いて回ったり、観察しているグループメンバーも、そのクライエントの心理治療のプロセスに大きな役割をになうこと。ひとは社会の中にいながら生活したり、それに対して不安を持ったりしているので、それと同等のものとして人の集まりであるグループの見守りを設定として使うことができ、クライエントがその中で人の集まりに「聞いて回れ」たり「体験」ができること。
3.観察しているグループメンバーは、西洋圏で言う「ウィットネス」(立会い証人)でもあるように感じた。西洋国では、何かにサインするにも「ウィットネス」のサインも持って、効力が発揮されることが多い。その人が本当にサインしたことを証明してくれる立会人がいることで本物とみなす。(日本はそんなのはなくてハンコ文化だけれども)。自分がセラピーの中で体験した一部始終を、サポーティブに目撃してくれた証人が複数もいた、とういことがまたクライエントの中で、体験の「本物さ」を増す実感になって心理的効果が深まるのではないか。
4.臨床心理学の精神分析や行動療法に続く「第三の流れ」「人間性心理学」流派に属するエンカウンター・グループにも大学院のころには数多く出たが、どこにたどりつくのかが流れ任せで、グループの力動や体験が個々人に治療的なことになるのか、それともどっちらけた?または非治療的体験の上塗り?になるのかが入り乱れ得る非構成的なエンカウンター・グループよりは、治療的な構造化やメカニズムがしっかりしている、と感じた。出るならこっちが良いな~。必ず何かもらって帰れそうだ。
5.徹底的な「今ここ」主義。「いま現在に起こっていること」を扱うのが鉄則。まずは今持っている「からだの症状」から入る。そしてそれがunfinished business「過去の未解決の問題」につながる不思議。過去を過去として頭(知性)だけで扱わない。過去を今につながっている体の痛みや症状としてとらえる、扱う。頭だけで扱ったら、やがてすぐに吹き飛んでしまう。本当の心理的体験としてパーソナリティまで変わる「心理療法」になるためには、「からだの感じ」や「感情」からも扱わないと。
6.多くの人は「今ここ」につながれなくなっているから、おかしなことになる。自分のやっているジェスチャーの意味や、やっていること自体にもあまり気づいていないことが多い。クライエント(グループでワークをやっている人)のジェスチャーや表情についてもよく指摘する。そこから自分の本当の気持ちや体の実感に気づく。「本当の自分でいること」「自己一致」を目指す。
などです。興味深い。臨床実践に取り入れていきたいと思います。
以前からコミュニケーションには「コンテント(内容)」と「プロセス(それぞれの感情など本当に流れていること)」の二種類があり、「プロセス」の局面からも視点が外せない私には合っているかも知れません。
マインドフルネスをずっとやってきたので、「今ここ」にいられる度合いを高めると治療になるという視点も完全に一致します。
また「CBT認知行動療法」がどうも思考だけの浅いレベルにとどまる気がして心底はほれ込めない私がいたのですが、認知の変容がどうしたら深いレベルまでの人格変容、情動修正体験にまでなるのか、「今ここ」や「からだ」「感情」に開かれていく度合いを高めることで、可能にできそうな気がします。
写真は日本語も堪能な主催のジャクリーン・ヒルトンさん、セントラル・コーストでゲシュタルト療法とヨガを教える先生。そして百武先生。来年はシドニーの日本語コミュニティにもワークショップしてくれるかもしれません・・・。(私、いま交渉しています)。
バックに写っているグループ終了後の参加者の抱擁も良いですね。それにね、ほら気づきました?右側に私の携帯を持つ手が写っていますよ・・・!?
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