ワーホリや留学生の方のこころのカウンセリングをたびたび行なっています。
いろいろなテーマのケースがありますが、
彼らの状況に共通する課題は「適応」だと思います。
「適応」とは心理学では、周りの状況や人間関係になじんで
うまく機能できるようになること、を言います。
ワーホリや留学生で日本から来て二十四時間環境が変わって、
異文化の状況への適応に次々に迫られるのは、
「転校生」の体験のようなものだ、と思いました。
転校生は、自分の家族とはいっしょなものの、
それまで慣れ親しんでいた地域や学校や家から完全に離れて、
新しい地域や学校や家に、慣れていかなければなりません。
つきつけられている心理的課題はまさに「適応」です。
そしてワーホリも留学生も住み慣れた日本の自分の地域の、
家や友達や学校や仕事や日々の活動の場と人間関係から離れて、
オーストラリアにやって来て、住む場所や生活や活動に
慣れていかなければなりません。
またはシェアも学校や仕事も、開拓して決断していかなければなりません。
一日中、二十四時間環境が変わるってけっこう大変なものです。
しかも今までいた地域や学校との共通点があまりない、
「まるで異文化」なところに来れば・・・。
(日本で移動する転校生でも、基本的に二つと同じ家も学校もないので、
すべてが微妙に、あるいはまるっきり違う
「異文化」適応体験であると言えると思います)。
転校生にもはじめは友達がまるっきり、あるいはほとんどいない。
ワーホリや留学生も、ほぼゼロから友達つくりを開始するのです。
以前の地域や学校ならたくさん持っていたものも一度ご破算になり、
来豪してからの友達やネットワークつくり。
そんなたいへんさがある中で、何とか慣れて機能できるようになって、
一年、あるいは数年の時間をここで過ごして行くのだと思います。
それでも、日本という国で当たり前と言われている常識や文化や行動様式が、
まるっきり通用するわけではない国や文化があることを実感する。
さまざまな価値観のちがいを感じさせられて、自分の価値観をはっきりさせて行く。
また異文化でも適応して動けるようになった体験があるのは、
彼らの人生にとって、日本で暮らしたり仕事をしたりしているとは
また違う、忘れられない貴重な一年や数年になるのだと思います。
転校生として負荷も負ったが、それによって適応の経験が増え、
身につけたり鍛えられたものもある。
島国日本の若者に、まずは一度海外に出て来て欲しいものだと思います。
そのために適応という課題の負荷を負うのは、ある意味当たり前のことですから、
その適応をこころの面からサポートして行きたいと思います。
日本の臨床心理士とオーストラリアのサイコロジスト資格の両方を持っています。
カウンセリングのやり始めは日本でした。
カウンセリングの機能として象徴的であるように思ったので、この二種類の木彫りのお人形を置いています。
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