カップルにとって人生の大舞台となる「結婚式」。日本のウェディング・プランナーの仕事は、結婚が決まったカップルに挙式や披露宴についての説明をし、自社のチャペルや会場を利用してもらえるように案内やアドバイスをすることから始まります。時には新郎・新婦の人生の相談相手にもなることも。
最近では、ハワイやオーストラリアなど海外で挙式を挙げるカップルも珍しくありません。異国の地で一大イベントをプロデュースするシドニーのウェディング・プランナーは、どのような仕事をしているのでしょうか?
今回JAMSスタッフは、シドニーで「ブライダル・プランナー検定 対応コース(2週間)」を開講しているM’s Studioの講師であり、海外ウェディング・プランナーとしての経験も豊富な辻仁野さんにお話を伺い、実際のレッスンの様子を見学させていただきました!
M’s Studioマネージャー、ブライダル・フラワーアーティスト
辻 仁野(つじ まさの)さん
1995年に来豪して以来、カナダなど他国での滞在を経たのち、シドニーで「Skilled Flower Specialist」として永住ビザを取得。ブライダルに関連するさまざまな知識や、ケーキ・デコレーションやブライダル・プレストフラワーなどの高いスキルを活かし、現在はブライダルやフラワーに関する幅広い講座で講師を務める。
・シドニーと日本でお仕事に違いはありますか?
日本国内の挙式をお手伝いするプランナーの場合、通常はブライダル会社に入社し、訪れたカップルといっしょにプランニングをしていくことになります。対して、シドニーのプランナーはカップルがこちらで挙式を希望される場合に、現地の情報をなるべく詳しく入手しながら日本のスタッフと密にコミュニケーションを取り、日本でプランニングされたものを現地ですべて手配していきます。こちらのサプライヤーやベンダーとしっかり確認をしながら、挙式がすべてスムーズにいくように準備するんです。
また、日本のプランナーは全体を見ますが、挙式当日はメイクやカメラなどの部門には専門の担当者も付いて確認していきます。しかしシドニーのプランナーは、カップルだけの挙式ですと1人ですべての部門の確認や指示もこなさなければいけません。ですから目の前のことだけを考えるのではなく、常に先のことを考えたり、いろいろなところにアンテナを張り巡らせておかないといけませんね。
・プランナーを仕事にするために重要なこと、適正などありますか?
相手の気持ちをどれだけ考えられるか、何が希望でどうしたいのか自分から探していくことが大事です。人が思っていることと、それを自分がとって思っていることは意外と違うもの。花の色ひとつにしても「黄色い花にしたい」と聞いた時に、濃い黄色から薄い黄色まである内のどの黄色なのか、細かいことをひとつひとつきちんと確認できる責任感がないと務まりません。
今は日本にも素敵な会場が多いので、最終的には「担当者がよかったからそこに決めた」というアンケートが伸びてきているんです。ウェディングの多様化、個性化によって希望通りの舞台を作り上げるウェディング・プランナーの役割はさらにプロフェッショナルなものとなり、これからのプランナーは自分にはどういうことができるのか、より一層の期待がかかってくるでしょう。
・シドニーのブライダル事情はどのような感じなのでしょうか?
じつはオーストラリアにはウェディングの会社がほとんどありません。そのため、現地のプランナーはフリーランスとして働き、どこのサプライヤーに頼めばブライダルに必要な物が手に入るかという情報を常に集めています。クライアントの希望を聞きながら、あなたにはこのサプライヤーが合っているんじゃないかしらといくつか提案をし、クライアントはそこから選んだサプライヤーと契約することになります。
海外挙式というとハワイやグアムが人気で、青い海のリゾートが有名ですよね。もちろんシドニーにも美しいビーチがありますが、海だけではなくオペラ・ハウスなどの世界遺産や歴史的な建造物も数多くあり、古い街並みが残るロックスは絵になります。ビーチだけではないプラスアルファが、シドニーのウェディングならではの魅力でしょう。

・同検定コースは、ブライダル業界に就職するための知識を、欧米式も含めてトータルで学べます。業界最大ABC協会のブライダル・コンサルタント資格取得が目指せるそうですが、具体的にどのようなカリキュラムになっていますか?
ABC協会の検定はペーパーテストだけの内容ではなく、実際にプランナーとして仕事をする場面で役立つ出題が多いんです。弊社のコースは独自に過去問題を研究し、プランナーに必要な知識と出題部分をを重点的に学習・復習していきます。過去にウェディングの手配をしていた頃の実体験を交えながらレッスンを進め、設定されたシチュエーションに応じて生徒さんが考えたプランの発表もしていただきます。プランナーになるのにプランが何も思いつかないままでは困りますから、生徒さんが自分から想像できるように育成し、他の生徒さんと考えをシェアすることでいい影響を与え合えるような環境になるよう努めています。
・検定合格率95%以上の理由は、どこにあると思いますか?
集中して勉強だけをがんばっていただけるように、2週間という短期のコースを設けて、1週目と2週目に勉強した範囲をそれぞれテストする”週試験”を、必ず受けていただきます。そこで理解できていない部分を明確にして、もう1度集中して勉強していただくんですね。その後の修了試験で80%以上をマークすれば合格。週ごとに習ったことをほぼ完璧に頭に入れていただけるような工夫が、合格率の高さにつながっているのだと思います。

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なるほど、合格率の秘密は濃いレッスン内容にあるわけですね! では、気になるレッスン風景をちょっと覗いてみましょう!

本日の生徒さんは3名。少人数制なので、ひとりひとり丁寧に教えてもらえるところもポイント
海外ウェディング・プランナーに興味を持ったきっかけを、生徒さんに少し伺いました!
ユウキさん(写真左):ホテルのマネージメントを学んでいた時期に、この職業のことをチラッと聞いて「おもしろそうだな」と思って。この講座を卒業した後は、オーストラリアのホテルで働いてみたいとも考えています。
ミクさん(写真中央):高校生くらいから興味はあったものの先に海外へ出てしまったので、このコースを知った時「コレだ!」と。将来どこに住むにしろ、日本人のカップルが結婚式を挙げるお手伝いがしたいですね。
メグさん(写真右):高校生の頃から興味があってホテルのブライダルに就職しましたが、海外や欧米のブライダルのことも知りたいという気持ちから、思い切って仕事を辞めてシドニーに。英語とウェディングの仕事に携わりたいと思っています。
講師の辻さんは、海外のウェディング雑誌やドレスの生地などを生徒さんに触ってもらいながら、ドレスの流行の変遷やウェディングの歴史について分かりやすく解説。分厚いテキストも、ひとりひとりが理解しているかをチェックしながら、丁寧に進めていきます。
モデルとドレスの写真を見比べて日本と欧米で何が違うか、生地の違いでドレスにどんなイメージが出せるか、課題を与えて生徒さんの想像力をどんどん刺激していくんです。
辻さんご本人の経験にまつわる挙式当日のトラブルの解決方法など、くすりと笑えながらも知識として役立つエピソードの数々に、生徒さんも興味津々。テキストにはない生の現場体験を事前に知ることによって、自分ならどうするのか考えることができますね。
最後に、講師の辻さんご自身について伺いました。
・仕事をする上での苦労は何ですか? そしてシドニーで働くメリットは?
海外で仕事をする場合、やはり地元の人とのやりとりが苦労するところ。日本人だと当たり前のことが当たり前ではなかったり、時間に正確でなかったり。花の仕入れにしても配達にしても、何日までに届けてほしいものが届かないなんてことはしょっちゅうですから、万が一届かなかったらこれで代行しようと、事前に考えておかないと。常にプランBやプランCを作っておくという心の準備をして臨んでいます。
そのおかげで、日本と同じことができないからと落胆するのではなく、じゃあどうしたらいいのか、自ら進んで何かしようとする姿勢が強くなりましたね。それに、シドニーでは私生活と仕事のバランスが取りやすい街。ストレスを感じてもシドニー湾をウォーキングするだけでスッキリ。
・海外ウェディング・プランナーを目指す人へのメッセージをお願いします
今後は長期コースを設けるなど需要に合わせて、さらに多くの学びたい意欲のある方に来ていただける場所にしていきたいと考えています。
ウェディングに憧れる方は多いと思いますが、その憧れは「やりたい!」という意志さえあれば必ず実現できます。まずは勉強を始めるドアを叩いてみてください。ウェディングは一生に何度も体験するものではありませんから、初めてへの憧れと不安を「やっぱり挙式をしてよかった」という満足へと変えられるように、すべて作り上げていけることが魅力。
きれいなものに囲まれて人の幸せのお手伝いができる、やりがいに満ちたお仕事です。まずは始めてみてくださいね。
日本でも多くのウェディング・プランナー養成講座がありますが、将来に役立つ検定合格を目指すなら、日本と海外ともに経験豊富な講師から短期集中で学べるシドニーのウェディング留学は魅力的。ブライダルのお仕事に憧れる皆さん、将来の夢とやる気を持ってM’s Studioの門を叩いてみましょう!
辻さんは他にも、ブライダル・フローリストやプリザーブド・フラワーなどの花留学の講師もご担当されており、M's Therapeutic部門には、専門講師の諸岡ひとみさんによるアロマ・リフレクソロジーやハーブセラピーなどの講座も用意されています。
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取材・文・撮影/武田彩愛(編集部)
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