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オーストラリア連邦政府議会で、野党が増税に関する新法案の通過を阻止できなければ、2017年1月1日より、日本人を含むワーキングホリデー中の若者たちは、収入の32.5%を所得税として納めなければならないところでした。与野党の議論は政治的にも高まり、もともと労働党はオーストラリアの労働者を守る政党であるはずなのに、この法案に関しては、海外からの働き手(ワーキングホリデー・メーカー)を優先し、税率を10.5%まで引き下げるよう反論したため、与党が野党である労働党を非難するという状況が生じました。これがいわゆる “バックパッカー税” 問題です。
オーストラリアでは約1年半に渡って、このバックパッカー税に関する議論が続きました。最初に、政府がワーキングホリデー・メーカーに対する32.5%の所得課税を示唆した時点で、農業や観光業界では、大きな危機感が募りました。増税によって、ワーキングホリデー中の若者たちがオーストラリアで収入を得ることに大きな魅力を感じなくなり、逆にホリデー中に働くという選択は損だと思うようになれば、農場では収穫期の人手不足が生じるどころか、それによって収穫できない大量の作物が腐ってしまうおそれがあったからです。
農業や観光業界に影響が及ぶことを懸念した政府は、提案していたワーホリの所得税率を15%に下げることに妥協し、問題は終結しました。
ちなみに昨年、モナッシュ大学のリサーチ機関が行った調査によると、ワーホリの所得税率が32.5%に決まった場合、オーストラリアでのワーキングホリデーを見送ると答えた若者が6割もいたそうです。こうした調査によって、ワーホリに高い税率が課されることになれば、オーストラリアの農業や観光業界が大打撃を受けることは予想されていました。
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