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先日、小説から音楽、教育、映画まで多岐にわたる分野の作家や評論家、ジャーナリストなどが国内外から集う「Writer’s Festival 2017」という文学祭に行ってきました。合計300以上のプログラムのうち約半数が無料であったこともあり、読書好きとしては見逃せません。過去にも海外からイギリスの有名作家のニール・ゲイマンや人気TVシリーズ『ブレイキング・バッド』のエグゼクティブ・プロデューサーのヴィンス・ギリガン、俳優のアラン・カミング、ブッカー賞を始めとしたさまざまな文学賞受賞作家の面々が招待されているのですが、今回は私のお気に入りのふたりが参加するということで楽しみにしていました。
●Ivan Coyote
カナダ出身のライター/パフォーマーで、今までに11冊の著作と3枚の音楽アルバム、4本の映画作品を公表しています。ほとんどの作品はトランスジェンダーであるアイヴァンさんの実体験に基づくもので、私はTED Talks『性別なしのトイレが必要な理由』を観てアイヴァンさんのことを知りました。その後、ヤングアダルト向け短編集『One in Every Crowd』を読んだことがあり、今回の同フェスティバルに参加すると聞いてワクワク。
アイヴァンさんはプログラムのトーク中も、人称代名詞の“he”と“she”ではなく“they”を使っていたのが印象的。LGBTIQを扱った優れた文学に贈られるストーンウォール賞の2017年受賞作品の最新著作『Tomboy Survival Guide』が朗読されたほか、ウィットに富んだ話し方で会場には笑いがあふれ、観客からは「家族もしくは自身がクィア(セクシャル・マイノリティ)で、こういうことに困っているけれどアイヴァンさんはどう考えますか」といった質問も少なくありませんでした。
●Nick Earls
ベテランのオーストラリア人作家で、現在26冊もの著作が出版されています。小説から児童書まで執筆し、なかでも2000年にオーストラリア児童図書賞のOld readers部門受賞作『48 Shades of Brown』は母国で映画化されました。ニックさんのことは、イタリアで映画化されて日本でも上映された『ただひとりの父親(Solo un padre)』を観て知り、その後、双子が過去の世界で“言葉”にまつわる冒険に挑む、児童書の『Word Hunters』シリーズを読みました。
ニックさんは子ども好きのフレンドリーなおじさんで、会場はキッズでいっぱい。ワークショップのような感じで、言葉の由来について話してくれました。サイン会でも始終ニコニコしていて、ゆっくりお話することができました。未読のシリーズ第3作も読もうと思います。満足!
他にも、シドニー・モーニング・ヘラルド紙の編集者やジャーナリストが、ゲストを迎えて語る「Coffee and Papers with the SMH」も充実していました。
同フェスティバルの良さのひとつは、参加ゲストと観客の距離がとても自然なことじゃないでしょうか。各プログラム後にはサイン会が催されるのですが、サイン会場へ移動しながら参加ゲストと他愛ない会話をしたり、空き時間にカフェでくつろぐ出演者たちの時間を誰も邪魔しないでいたり、そうした距離感がまったりしていて居心地いいと思いました。
有料イベントでもプログラム会場によっては仕切りがないため、外で聴いている人も結構いました。私は主に無料プログラムを聴きましたが、開始間際に余っている当日券は10ドルまで値下げされるので、当日の気分でプログラムを選ぶのもおもしろそう。イベント会場自体はふ頭にあるので、待ち時間はカフェや水辺でのんびり読書ができました。
「Writers Festival 2018」は、4月30日(月)から5月6日(日)まで開催予定。興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
文:武田彩愛(編集部)
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