私たちがいつも生活しているシドニーシティで、通り魔事件がありました。被害者の方に対して心が痛みます。ご冥福をお祈りいたします。ケガをされた方の体と心が一日も早く癒えますように。
このような事件が身近であると、私たちの心はしばらくざわざわすることがあります。シティで生活や仕事をしている方にとっては、毎日のように歩く通りでの出来事です。シティに時々週末に遊びに来る方にとっても、普通に歩いたことのある通りでしょう。自分もそこにいたかも知れない、シドニーシティってそんな事件が街中で起こってしまうこともある所だったのだと思ってしまいます。
この機会に、数年前のリンズカフェの立てこもり事件でシティが閉鎖されて機動隊が出て突入までに長い時間が続いたときのことを思い出したり、シドニーに住んでいることもリスクがあるなと思ったり、急に緊張感や怖さや不安を、多少とも感じている方もいらしゃるでしょう。心配した日本の家族や知人から大丈夫かと連絡をもらった方もいらっしゃると思います。
そんな私たちの今のこころの状態への対応のポイントを、いくつか書いてみたいと思います。
1.このことについて話したい方は、話してみましょう。家族やお友だち、職場などの身近な人に。びっくりした気持ち、しばらくシティを歩くのにも用心深く、怖くなってしまう気持ちも話して、その気持ちを分かち合いましょう。同様の気持ちを人も持つものだとわかり合いましょう。
2.このようなことがあればしばらくはざわざわした気持ちになるのも、誰にでも起こる当然の反応なのだと、自分の心の状態を、共感的に受けとめるようにしましょう。そんな自分を、メンタルが弱いと叱咤激励するよりは、そういうものだなあと受け入れるように、わかってあげるようにしましょう。人にも自分にも。
3.心の作業や時間とともに、この心のざわざわは収まっていくものと理解しましょう。しばらく時間はかかります。でも確実に、後ろに下がっていくでしょう。
4.しばらくは事件のニュースや記事ばかり見てしまうかもしれません。一通り見て満足したら、それ以上は何日も見てばかりいずに、事件のことから気持ちをそらすように、日常のやらなければいけないことにできるだけ注意を向けて、日常感覚に戻れるようにすることも大事なポイントです。
5.実際に事件現場に遭遇して、恐ろしい事件を見てしまった、などの方にはさらに強い反応が出る場合があります。事件現場のそばに近寄れない、少しの物音や人影などに敏感になる、事件の場面を急に思い出してしまう、などです。そのような反応が二週間くらいでおさまれば良いのですが、それ以上続く場合には、専門家に相談をした方が良いかも知れません。サイコロジストに電話して、保険カバーなどでカウンセリングに来られるやり方を聞いて、GPで紹介状を取り、トラウマの処理のカウンセリングを受けることもできます。
6.しばらくは怖かったり不安であったりしますが、気をつけるのは必要であっても、そんな頻度でこのような事件が起こるわけではないことを、実感できるようになっていければ良いと思います。私自身もシティで毎日働き生活するものとして、今は多少の心のざわざわの中にいますが、この気持ちをクリニックのスタッフたちと共有したり、シティを特に夜など歩くときに怖くなったり、人影に敏感になったりしながら、いつもの通常の生活と仕事をやっていっています。そのうちにこの心の状態も過ぎて、だんだん忘れたように平静に戻っていくでしょう。そういうものなのです。
ご必要かも、と思われる方はどうぞご遠慮なくご連絡くださいね。
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