医療/保険

◆◆ 7年目の謝罪 ◆◆

人の営みには、味わい深いものがあります。

中でも、商店街!!

行き交う人の表情や、こころおどる揚げ物たち。

色とりどりの野菜や、お総菜。

「はい、お返し300万円ね」のお約束。

歴史のある商店街ほど、ワクワクします。

Ausでも、土曜日のMarketには毎週のように通っていました。

RocksやGlebeも良いですが、私はPaddingtonのMarketが1番好きです。

しかし、やはりAus。

どこに行っても、ケバブに点心、寿司……と、各国の本場の味を手軽に楽しめるのは魅力的です。

 

 

さて。

お肉屋さんの揚げたてカリカリほくほくのコロッケ

(お肉屋さんのコロッケって、何であんなに美味しいんでしょう!?)

にするか、

これまた揚げたてふわふわの無添加ドーナツにするか、

お豆富を買いながら真剣に悩んでいた時、ふとある事を思い出しました。

 

夜勤明けで、昼近くに私が起き出して来たとき。

珍しく母が、笑い声高く電話をしています。

母は「病気の玉手箱」みたいな人なのですが、

あの時代にデザイナーだっただけあってか、還暦を過ぎても韓国語や英語を学ぶ意欲的な人です。

しかし、それ故か、人付き合いは「狭く深く」で、めったに電話などしないので、

「珍しいなぁ…」と思いながら

私は歯磨きや洗顔など、朝の用事を済ませていました。

 

用事を済ませて、食事を作っている傍で、

ようやく電話を切って、3時間話したらしい母が、私に話しかけてきました。

ーーNさんだったよ。

その後も楽しそうに電話の内容を語る母に相づちを打ちながら、

しみじみと、垣間見ている大人の味わいを噛みしめていました。

 

Nさんと母が連絡を取らなくなったのは7年前の事。

Nさんとは家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いていたので、

私とは個人としての付き合いを残して頂いていましたが、

およそ7年間、母とNさんの関係は途絶えたままでした。

 

原因と起こってしまった事はさて置き、母も私もNさんの気持ちは分かっていました。

円熟期を迎えた母の気持ちは想像するしか有りませんが、子どもの立場として私は、

7年間、時が巡り来るのを待っていました。

 

取り留めなく話す母の姿には、どうやら、その時が訪れたらしい表情が浮かんでいます。

Nさんは、

ーー長年のご無沙汰のお詫び。

ーー何かの折に、いつも母のことを思い出してくれていた事。

ーー母の存在をどう思っているか。

こういった事を、ご自分の家族の近況報告と共に、母に伝えてくれたようです。

 

ゆく河の流れは絶えずして、しかも もとの水にあらず

『方丈記』冒頭部

 

水の泡や朝顔の露のような、はかない存在かもしれない私たちですが、

水が別れ、また合流する様に、

縁のある人とは何度でも巡り会うものです。

私はそこに人間の味わい深さを感じますし、

「人の営み」とは、

そういった出来事をそれぞれが作り出す所に価値がある、と思っています。

 

そしてこんな「7年目の謝罪」を、

こんな形でしみじみ噛みしめるのは、案外私たち日本人に特有の事ではないでしょうか?

 

大丈夫。

しっかりと思っていれば、どれだけ時間を隔てても、相手には伝わります。

キャル

 

 

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