男性の悩みを解消! 骨盤底筋の運動療法 前編
『排尿後しばらくしてから下着が尿で濡れてしまう』
『EDかもしれない』
『前立腺の手術をした』
このような悩みはセンシティブで、なかなか相談しづらいものではないでしょうか。これらの症状を引き起す原因は色々考えられますが、薬に頼る前に、まずはフィジオセラピーで筋力トレーニングを行なってみませんか。
骨盤底筋と呼ばれる筋肉を鍛えることで、これらの症状に効果的な改善を期待できると言われています。骨盤底筋とは、おしりをしめる時などに使用する筋肉です。もともとは腰痛のリハビリの一環として注目され、トレーニングする筋肉でした。しかし、近年ではこの骨盤底筋のトレーニングによって、上記の症状に対しても治療効果があることが解明されてきました。ある英国での研究では、長期的にはバイアグラと同等の効果が認められる、という研究結果まででています。副作用があるかもしれない投薬治療よりも、身体の中から改善できるのであれば,これほど根治に近づく解決方法はないのではないかと思います。
男性の尿漏れの原因は、大きく分けて3つ考えられます。
1.尿道の中に尿が残ってしまう
2.老化に伴う前立腺肥大症
3.過活動膀胱
骨盤底筋のトレーニングで回復が期待できるのは1と2が原因の場合です。
1の場合、排尿後陰茎を振ることで改善することも多いですが、骨盤底筋を鍛え、出し切る訓練をすることが大切です。
2の場合、年を重ねるごとに男性ホルモンの影響で前立腺が肥大化する傾向があります。通常、投薬もしくは手術により肥大した前立腺を縮小させます。その手術前後の骨盤底筋のトレーニングで術後回復が大きく改善でき、その後の前立腺手術由来のEDになるリスクなどを軽減させられます。
3のメカニズムはまだ解明されていません。
EDの場合、精神的要因を主因とする機能性EDと血管・神経・前立腺手術など身体的原因による器質性EDの2種類に大別されます。筋肉トレーニングが効果的なのは、もちろん2が主因の場合ですが、「筋トレを頑張っている」という事実は、自分に自信を取り戻す一種のきっかけにもなり、心理的に良い相乗効果も期待できます。
フィジオセラピーではこのような症状を改善し、患者様のQuality of Lifeの向上をめざします。後編では具体的な治療方法とその効果についてご説明したいと思います。
悪化する前に一度、フィジオに受診されてみてはいかがでしょうか。