第39回:ストレッチは怪我の予防になるのか?
日豪プレス2014年11月号 掲載
運動直前に、怪我の予防やウォーム・アップがてらにストレッチを行うという人は多いのではないでしょうか。ひと言にストレッチと言っても、いつ、どのように行うかによって全く違った効果をもたらします。また、ストレッチをすることで怪我をしやすくなる体質の人もいるので注意が必要です。
運動直前のストレッチ
ランニングやサイクリングなど、一方向に体を動かす運動では直前にストレッチを行わない方が良い結果が出ると最近の研究で明らかになりました。ストレッチにより筋肉が柔らかくなると、筋肉のバネの効果が低下するためパワー、持久力ともに低減するためです。
逆に、サッカーやバスケットボールなど、多方向に身体を動かすスポーツの場合は複雑な関節の動きを必要とするため、怪我の予防という点で直前のストレッチは効果的です。
また、関節が過可動な(例:人差し指を手の甲につけることができたり、膝関節をまっすぐよりも後ろに伸ばすことができる)人は、軟部組織(筋肉、腱、靭帯、関節包)が伸びやすい体質のため、ストレッチをすると軟部組織の伸び過ぎにより肉離れなどの怪我の原因になります。このような体質の人は、普段からストレッチを行わないこと、筋肉や関節が硬いと感じた時は、硬いと感じた箇所だけをトリガー・ポイント・マッサージなどでほぐすことが効果的な対処法になります。
表題の答えは“イエス”
習慣的にストレッチを行うことで、運動直前にストレッチをする必要もなくなり、運動そしてストレッチ双方からの怪我のリスクが抑えられます。肉離れを起こしたことのある箇所は、運動直前にストレッチをすることで再発を防ぐことできます。肉離れや怪我をしたことがある箇所の効果的なストレッチ方法はフィジオセラピストから処方してもらうと良いでしょう。
ストレッチは痛みが出ない程度に「ゆっくり、そっと」30〜60秒間伸ばすことが基本です。伸ばしている間に、突っ張り感が緩和すれば、少し深く最初と同程度の突っ張り感がでるところまで伸ばして30秒待ちます。この間、痛みや不快感がある場合はゆっくりと緩めのストレッチで体を和らげましょう。