JAMSの若きホープKMは最近デスクワークが増えたためか、肩こりの兆候が…、以前にはなかった頭痛もチラホラあるし…、ということで慢性・不治ともいわれる頑固な肩こりを持つ典型的おじさんのKYにお悩み相談。
KYの「慢性化する前に、早期治療をすることで解決も早くなる!」というアドバイスを元に、KMが門をたたいたのは…、Metro Physiotherapyの奥谷先生! じつはKYの言葉も奥谷先生の受け売りなんですね~
奥谷先生は、顎関節治療の第一人者で、実際に以前顎関節に関しても取材させていただいたり、その人となりも取材させていただいたりしておりますが、今回のテーマは肩こりと頭痛の解消!!
肩こりについてはこれまた以前も取材させていただいたのですが、前回と違うのは鍼を利用した“ドライニードリング”治療が含まれているということです。
鍼と言えば、熱烈なファンがいることでも知られる東洋医学の真髄。
フィジオセラピーといえば、西洋医学の最先端。
つまりモダンオーストラリアン料理のように「West meets East」なんですね~
鍼治療に関しての考え方には東西において相違があるものの、そのあたりのお話も含め、肩こり解消取材に行って来ました♪
今回の【JAMSスタッフが行って来ました♪】は、是非皆さんにももっと体のことを知ってほしいと願い、ただの体験取材ではなく、奥谷先生のポイントポイントでのレクチャーもできる限り詳しく盛りだくさんの内容になっています。日常生活にも役立ちますからご覧いただきつつ、実際に試していただきたいと思っています!
じつはKMは、JAMS入社以前、2年ほど前に奥谷先生のお世話になっております。その時はアゴ、まさに顎関節の治療でした。原因はしゃべりすぎとのこと
今回は、KMも、そしてKYも、恐らくは多くのJAMSユーザーの皆様も悩まされている肩こりについて。ということで治療部位は異なりますが、KMはアゴの時にもドライニードリングを実施していただいていますので、その効果は体験済み!
まずは問診から。
肩こりと一口に言っても、部位も症状も様々ですから、その確認からということですね。
KMの場合、頻繁にというわけではないのですが肩こりが原因と思われる頭痛があります。
頭痛が起こる原因も様々で、姿勢が原因で起こる頭痛を頸椎性頭痛といいます。頸椎2番が圧迫されて起こる頭痛で、片方だけに出る特徴があり、肩こりから来る頭痛もここに分類されます。主に気圧の変化や食べ物が原因で起こる偏頭痛は、視界がぼやけたりする特徴があります。ストレスから起こる緊張性頭痛は頭の孫悟空の輪の部分に出てそこが横側からぎゅーっと締め付けられるのが特徴。女性の場合は生理前にホルモンのバランスに起因して起こるホルモン頭痛もあります。これらの一つ、もしくは複数が重なり合って引き起こされるのが一般的に呼ばれる頭痛です。一つの頭痛が治まれば、他の頭痛も出にくくなる傾向があります。
奥谷先生:ご自身の頭痛のパターンや症状がわかれば、原因も探りやすくなり、結果として対策もたてやすくなるということです。
KMの場合、ひどい頭痛ではないものの、頸椎性頭痛+偏頭痛の症状があると思われることが問診によりわかってきました。KMは最近確かにデスクワークも増え、PCの前で作業する時間も以前より長くなり、結果として以前は見られなかった頸椎性頭痛の兆候が最近はちらほらと…。
KMに限らず現代社会において、肩こりはかなり多くの人が抱える問題ですが、原因は姿勢ですね。PC時代、スマホ時代の生活習慣病と言えます。
奥谷先生:PCなし、スマホなしでの生活は考えられないと思いますが、ご自身の意識を変えるだけでも十分な効果はありますよ。
そう、奥谷先生は単なる治療を行う理学療法士ではなく、治療はもちろん、予防、早期改善、再発防止を心がけるべく対話を通して様々なことをアドバイスしてくれる「骨格と筋肉のコンサルタント」なんですね~♪
奥谷先生:肩こりがひどいと頭痛が起こりやすくなるので、とにかく一番大事なことは正しい姿勢に改善することです。例えばPCのスクリーンが目線より下だと、どうしても猫背になってしまうので、首の付け根の部分に負担がかかりすぎて肩こりになります。これは5-6キロといわれる頭を首だけで支えているからなんです。それも長時間。だから頚椎にかなりの負担がかかり、肩こり、そして頭痛が引き起こされたりします。
だから例えば辞書でも箱でもいいのですが、PCのスクリーンに台を作って目の高さと同じにする、など工夫することで頚椎への負担を軽減できますよ。
また、30分に一度でも姿勢を修正することも予防や改善の方法一つになります。いったん姿勢を修正したら、15秒間は意識してその姿勢を保つことがポイントです。
(下の写真のような姿勢、あるいは椅子に座ったままでもいいのでもう少し体を反ってみるなど)
問診の後は診察開始です。
まずは関節の柔軟性、つまり硬さをチェック。
まず首の可動域から。首を左右に回して後ろに何が見えるか、どこまで見えるかを見ます。次に首を上下に動かしたり、右と左に耳を肩につけるように倒して筋を伸ばしてみます。若干硬めだが総じてさほど問題はないレベルです。
次に背中の硬さを…
奥谷先生:超~~~硬いですね! 背中の硬さが姿勢を悪くするんです。首や背中の筋肉が痛みを出して姿勢を悪くしてしまいますが、その痛みを起こさないようにするために体が自然と背中がまるくなり、その状態で筋肉も硬くなって、猫背になってしまう=姿勢が悪くなる、というメカニズムです。
背筋を伸ばし終えたところで、もう一度首を左右にねじって可動域をチェックします。左右見える範囲が若干広がり、多少なりとも背筋も伸びています。
背中をいじっただけで、首の可動域も広がっているため、やはり背筋を伸ばすことが大切ですね。つまりKMの場合、首の可動域の問題は特にないが、背中が硬いということが肩こりの原因というわけです。
ここで問題はなぜ背中と肩の筋肉が張っているかということ。
奥谷先生:背中には僧帽筋という筋肉が首の付け根の筋肉なのですが、この筋肉が両腕をハンガーのように吊るしていると同時に首を支えているのです。ということは、ここの筋肉だけで、頭の思さと腕の重さを支えているということで、長時間頭を下げて猫背の姿勢をしていると、ここにかなりの負担がかかって伸びきっちゃうんですね。
そんな時は…
写真のように、できるだけ両肘を後ろにもってきて、
ぎゅーっと肩甲骨と肩甲骨の間をしめるようにして、
(このあたりをしめるような意識)
肘の角度は直角を維持したまま、上下にゆっくりと持ち上げるように動かします。
この動作を20回ほどやってみましょう!
ゆっくりやっていくと意外ときつく、5回目ですでに腕が震え始めるKM、気分は腕立て伏せをゆっくりやっているような感じです。
20回終えたあとの第一声は「暑い!」。たった20回と思ったが、一つ一つの動きを丁寧にやることで、終えた後はじんわりと汗をかくくらいいい運動になりました。
暑いのは、この動きによって首周りの血行の流れがよくなった証拠です
奥谷先生:そこでもう一度何も考えずに首を倒してみてください。
KM: あっ! さっきより痛くない!
奥谷先生:そうですね、もう一度首のあたりの筋肉がエンジンかけ直した感じですね。今まで、重さをささえるためにのびきってしまっていたので、血行の流れをよくすることによって、本来のようにしっかりとサポートできるようにすることが大事なんです!
さて、体の硬さチェックを終えた次はいよいよ治療! その前に頭痛の原因を探るために頭痛を再現してみます。
えっ!再現!!!!??
頚椎からみていき、頚椎2番で反応。普段の頭痛が再現されています! ここを押して耳の上(こめかみの上あたり)に頭痛が…、これにより頭痛の原因が解明されます。この部分が圧迫されるとき=下を向いているときになど頭痛になりやすいということなんですね。
関節を1つ1つ見ていくと、もう1つ気になる個所が! 硬い部分があるとショックを吸収できないため別の関節に影響が出ています。ある関節では特に反応はないのですが、1つずれると痛い痛い。この反応次第で原因も対処法も異なることになるのです。
さあ、本番というか今日のメインイベントの鍼です。
と言っても、東洋医学の鍼ではなくドライニードリングといって西洋医学における鍼治療を実施していただきます。両者はまったく別モノというわけではなく、東洋医学における鍼治療の考え方を参考にした治療法ですが、最大の相違点は、東洋医学における鍼が気の流れ、つまり経絡(けいらく=「北斗の拳」の世代の方はよくご存じですね)への刺激を施し気の流れを良くすることによる治療であるのに対し、西洋医学においては解剖学に基づき、触診をしたうえで緊張度が高い部位、あるいは痛みの直接原因の部位周辺(トリガーポイント)に直接鍼を打つことで痛みを緩和させる療法です。
オーストラリアのフィジオセラピーでも多く取り入られていますが、通常の治療にこのドライニードリングを加えることによる相乗効果による早期の改善を目指します。
取材だからというわけではなく、奥谷先生は普段の治療から饒舌に説明されます。人となりは以前の取材記事でも明らかですが、奥谷先生は黙々と治療をするのではなく、お話を通して「教育」をされているようです。このことはゴールである完治だけではなく、根本原因となる日常の生活習慣の改善を促し、再発をできるだけ防止するという目的も兼ねています。
冒頭で申し上げたように、JAMSスタッフKMは以前顎関節の不調(しゃべりすぎが原因)で奥谷先生のお世話になったことがあります。以前の取材でも顎のことを取り上げさせていただきましたが、奥谷先生は顎関節においてはオーストラリアの第一人者! 気になる方はぜひお気軽に診てもらってください。でも顎だけじゃないですよ~。
その際は4本でしたが、今回はもっと鍼をうちます!と宣言
KMビクビク、取材のKYはワクワク。
10本前後で、様子を見つつ…、だそうです
奥谷先生:ズンズンという感じ、きてますか?
KM: きてます! でも見えないので怖くない! 顎の時は見えたのでちょっと怖かったです。
KM: あ、またきた! ズーンから、ツーンという感じに変わりました。
何本か打ったところで最初のほうに打ったところの周辺に反応が! 鍼の周辺が赤くなっています。
これは自律神経のリアクションが早いということで、いいことだそうです。それだけこってるということでもありますが、つまり神経がこの痛みと戦うためにきちんと機能しているということです。慢性の肩こりの場合は鈍くなっておりすぐには赤くならないそうです。KYなら無反応か!?
最終的に鍼は12本! この頃にはもうだいぶ痛みにも慣れてきて、ボワーーンという感じに。
しばらく鍼を置きますが、その時に前述の東洋と西洋における鍼のこと、共通点と相違点などを話していただきました。
そして抜きますが、イタイイタイ! 髪の毛を引っ張られる、抜かれるような感覚!
鍼まわりは赤くなってますね。
フィジオクリームを塗りながらマッサージ。炎症をおさえます
肩こりの原因とはつまり重力と、頭の重さと首周りの筋肉、そして姿勢の問題。重力は変えられないし、頭の重さもほぼ一定だけど、姿勢は変えられるし、首周りの筋肉もつけられます。筋肉をつけるのは簡単じゃなく時間もかかりますが、正しい姿勢というのは意識次第
つまり変えられないものは仕方ないけど、自分の努力と意識次第で変えられるところを変えていくことで早期改善に!
しかし長年にわたってしみついた姿勢を正しくするのは簡単なことではありません。だからせめて、オフィスワークの合間に30分か1時間に一回でも背中や首を反ったりするストレッチなどを取り入れつつ、姿勢に対する意識付けをしていくことが大切なんですね。
奥谷先生:今回の治療にしてもあくまで痛みを緩和しただけで、日常の習慣が変わらなければ痛みはぶり返してきます。ですから治療と同等か、それ以上に大事なのは日常生活なんです。
単なる治療に終始するのではなく、奥谷先生はその日常生活における改善ということを強調します。まさに教育、ですね。
さてここで、くじらのような器材がでてきました。これをつかって腰を浮かせずに反ってもらい改めて硬さチェック。
KM: うっ…、苦しい…。
大騒ぎですが、まだ若いKMは後ろに反って頭がつくかつかないか。まあ悪くないレベルですが、デスクワークが長いとどうなるか…、ということでデスクワーク歴20年以上のKYも挑戦。
KY: 厳しい現実…。
これでも高校、大学時代は柔軟性の鬼、軟体動物と呼ばれた男も、長年の生活習慣により鋼鉄の体になってしまいました。腰から首にかけてガチガチということです。
別の方法でKY背中の硬さもチェックしたものの・・・
奥谷先生:う"っう"ぅぅぅぁぁあ"…、かった〜い。動かない!
KMも硬かったが、KYのそれは先生が呻くほど…。
KYのこの部分に、
パッと見はともかく、触るとわかるくらいのコブがあるようです。
頭が下がった悪い姿勢のまま重たい頭を支えないといけないため、首や肩の筋肉などが伸びてしまいます。
そのため、頸椎のこの部分にストレスがかかり、体は自然とその負担を軽くしようとして皮下脂肪を植え付けるようになります。
これが襟首にできるコブになります。下を向いているときにコブっぽいものがあるのは普通のことだそうでご安心を。しかしまっすぐ正面を向いている時にも同じような感じであれば注意が必要です。
解消するためには、くどいようですが日常生活の中での意識付け。治療、施術を行うことで一時的にはすっきり楽になるのですが、慢性的な肩こりにお悩みの方がそれと決別しようと思えば、原因究明と対策(診察と治療)そして何より日常生活における意識、改善するための努力、ということなんですね。奥谷先生はいつもそのカウンセリングといいますか、教育部分を大切にしています。
そして早期発見、早期対策ももう一つ重要なことです。問題を先送りすると傷口が広がってしまうのは万事に共通することですからね
「最近体がおかしいかな」と思っても「まだ大丈夫、診てもらうほどじゃないな。忙しいし」「だるいけど慣れてきたな」と思ってしまうのではないでしょうか? いつか「もう耐えられない!」になる前に、気軽に門を叩いてみましょう!
あなたの症状にあった治療はもちろん、体のケアの仕方も勉強できますよ
Metro Physiotherapy and Injury Clinic
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APA認定筋骨格系理学療法士:奥谷匡弘
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