過去の育ちの中での親子関係をはじめとするトラウマを扱うカウンセリングをするときもあります。
機能不全家族で育って、育ててもらったことに感謝はもちろんしていても、心理的には十分な環境とは言
えず、その影響や悲しさやさびしさが残っているようなクラインエントに・・・。
そのトラウマを乗り越えていくカウンセリングのポイントは、以下のように思います。
1.まずは正確に、親の病理や、どんな家族の機能不全があったのかも、理解できるようになること。
抑圧や否認、自分の過去の育ちがそんなに悲惨な面もあったとは思いたくない気持ちを乗り越えて。
2.正確に理解でき、それが確かにあったと認められるようになると、
悲しい気持ちややるせない気持ちも出てきます。
その時の自分の気持ちを想起します。
自分の育ちがそのように悲惨な面もあったと認めると、
それに対するショックや怒り、イライラも出てきます。
3.それらに対しては、グリーフ(親しい人の死など対象喪失後)のカウンセリングのように、
自分の育ちの現実に対するグリーフ・ワークを進めていきます。
否認・怒り・悲しみ・再生、のフェーズ(段階)を経て。
処理過程(プロセッシング)のイメージでもあります。
「共感」をたくさん使います。
4.基本はトーク・セラピーですが、最近私はファミリー・コンステレーションのフィギュアを使って、
トラウマだった人間関係を視覚化してクライエントにもサイコロジストにも理解しやすくしたり、
転移の状況(今の人間関係の問題に、過去の育ちの中での家庭状況がどのように影響しているか)を
分かりやすくしたり、また解決のイメージも持ちやすくなります。
5.グリーフ・カウンセリングと似通っているので、数回のセッションのみの一足飛びではなく、
「プロセス」回数を重ね、作業量の蓄積が必要です。
期間を聞かれるときには、「半年から数年」と答えることが多いです。
6.セッションの中で定期的にそのトラウマに触れていくエクスポージャー
(暴露療法。トラウマになった場面にだんだんに触れていき、不安感を下げて行く)側面もあります。
サイコロジストとの十分な信頼関係に基づく安全感の中で行うことが大事です。