海外での長期滞在に備え、保険に加入されている方も多いことでしょう。保険を使わずに過ごすことができれば幸いですが、不慮の事故に巻き込まれたり、盲腸で緊急入院せざるをえなくなった方も。日本に住んでいた時でさえあまり経験のない保険金請求をオーストラリアでするのはなかなか骨が折れそうですが、日本で契約した保険も、オーストラリアに来てから契約した現地の保険でも、保険事故から請求までの流れは大きく変わりません。ポイントを押さえておけば苦労なく請求できますが、ひとたび必要書類の用意を忘れてしまうと、あとあと手続きが面倒になってしまったり、最悪の場合、保険金が請求できないなんてことにもなりかねません。今回は、保険事故から保険金請求の流れを確認し、自分の契約している保険の種類にあわせた対応方法を紹介します。
オーストラリアに来ている方の多くは、病気やケガの治療費を保障する医療保険と、他人をケガさせた時の治療費(対人補償)や物を壊した時の修理費用(対物補償)などを補償する損害保険に加入されていることでしょう。オーストラリアで車を購入していれば自動車保険、家族がいれば死亡保険に加入されている方も、中にはいるかもしれません。しかしどの保険に加入していても、さらには日本、オーストラリアどちらで契約した保険であっても保険金請求の流れは基本的に同じです。
(1)保障/補償対象となる保険事故が起こったことを保険会社に連絡する。
(2)保険会社指定の必要書類を用意し、郵送する。
(3)保険会社の審査後、給付金が振り込まれる。
ポイントは、保険事故が発生した際はすぐに保険会社に連絡をすることです。その後の対処法や必要書類の案内をしてくれます。もし保険会社への連絡が遅れてしまっても、必要書類さえ保管しておけば、滞りなく手続きを進めることができます。日本で契約した保険の中には、キャッシュレスで病院にかかることができるサービス(病院が保険会社にかかった治療費を直接請求することで患者は治療費を払わなくてよい)があるので、その場合は病院にかかる前に病院へ連絡をしておけば便利です。
日本とオーストラリア、どちらで契約した保険でも、請求までの流れは変わりませんが、 ここで注意しなければならないことがいくつかあります。
必要書類の準備
保険事故が起きた場合は、関係する書類やレシートなどはすべて保管し、コピーを取っておきましょう。また、保険会社に必要書類を問い合わせましょう。特に損害保険の場合は、損害を受けた人や物の状態によって、必要書類が変わってしまいます。
原則必要となる書類は、医療保険の場合、医師の診断書とレシートです。医師の診断書がないと病院にかかったことが証明できず、給付金が受けられませんので必ずもらうようにしましょう。また、病院側にあらかじめ保険金を請求する旨を伝えておけば、医師も保険請求時に不都合がないように対応してくれます。
損害保険の場合は、対人・対物どちらの場合も、損害の度合いを証明する書類が必要になります。例えば、対人事故の場合は、相手方の治療費が確認できる書類(診断書とレシート)や事故証明書(警察が発行します)、対物の場合は、修理見積書や破損個所の写真などです。
振込先について
オーストラリアで契約した保険会社はオーストラリアの口座に、日本で契約した保険会社は日本の口座に保険金が振り込まれます。もしそれぞれ異なる国の口座への振込を希望する場合は、下記のように対応します。
(1)オーストラリア契約保険→日本口座へ:小切手か日本の振込口座を指定することができます。
(2)日本契約保険→オーストラリア口座へ:各保険会社が提携している、サポート会社を介し手続きをします。現金での給付は扱っておらず、小切手での給付になる会社もあります。
どちらの場合も、給付金の振込により時間がかかってしまうので、不都合がなければ契約した国の口座に振り込んでもらいましょう。また、契約した会社によっては対応していない場合もあるので一度確認しましょう。
保険を使わなければならないほど体調が悪い時や不慮の事故が起きた際は、必要書類について失念しがちです。そのため保険を使うまでの流れや、いざという時の保険会社への連絡先などを事前に確認しておくとスムーズに請求できます。ですが保険を使うことなくオーストラリア生活を送ることが一番なので、健康には気をつけて過ごしましょう。
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