【ブリスベン21日AAP】 日本軍の元捕虜と偽り、22年にもわたって46万ドル以上もの補償金を不正に政府から受け取っていたとされる男に対する裁判が21日、ブリスベン地方裁判所で行われた。判決は有罪。実刑4年とされたが、実際は懲役6カ月の後、Good behavior bond(執行猶予に類似する刑)になるとみられている。
アーサー・クレーン被告(84)は、1988年、戦争捕虜となった友人2人との友情を保つために「自分も捕虜だった」とうそを言ったのをきっかけにだんだん引っ込みがつかない状態になり、戦争史を調べたうえ、15歳で日本軍に対するゲリラ軍の志願兵になり、第二次大戦時にはタイ・ビルマ間の鉄道建設で日本軍に酷使されたなどといったうそを重ねていった。同被告は豪元捕虜協会の会長も務めた。しかし実際には、クレーン被告には軍隊に入隊した経験がない。
クレーン被告のうそは、2009年、戦争歴史家が同被告の演説を聞いた際に不審に思い、その発言内容を調べていったところ、虚偽であることが分かった。この歴史家は「22年もの間、市民を欺き公共のお金をだまし取っていたという事実に衝撃を受けている」と話した。