【1月11日】
年末から続く大雨によるクイーンズランド州の洪水被害は、日本の総面積の約2.5倍に相当する地域に及び、依然、拡大の様相を見せている。これまでに15人の犠牲者が確認され、経済的損失は60億ドルとみられている。
地滑りや橋が流されるなどで高速道路が閉鎖され、道路や鉄道などの交通インフラが切断されて各地の町が孤立し、救援物資の輸送も行き届かない状況だ。鉄砲水や濁流に車や人が流され、家屋の浸水や建物の倒壊もあるなど、記録的な降水量に甚大な被害が出ている。
州都ブリスベンでも、大雨によるワイベンホー・ダムの水位の上昇で市内を流れるブリスベン川の氾濫が予想され、洪水の被害が懸念されている。1974年の大洪水では6700戸が浸水被害を受け、その後、洪水対策として建設されたダムだが、今回の大雨ですでにダムは満水状態となり、明日には、10日と比較して50センチの水位上昇が予想されている。ブリスベン川の水位は13日には最高位に達し、約6500戸が影響を受けるとみられている。
クイーンズランド州は、農産物や資源の供給地として知られ、今回の洪水による経済活動に与える影響が懸念されている。野菜や果物の価格は約30%の値上がりが予想され、石炭は国際価格が20%ほど値上がりするとみられている。
今回のオーストラリアの洪水の原因はラニーニャ現象だとされている。南米ペルー沖の海面温度が急激に高くなるエルニーニョ現象は知られているが、ラニーニャ現象はその逆で、海面温度が急激に下がる異常気象。これにより東南アジア付近の海面水温を逆に上げ、インドネシアやオーストラリアなどの地域に冷たく湿った空気が流れ込んで大雨が長期間に渡り降り続くことになる。逆に北半球の日本には乾燥した空気が流れ込み、夏は梅雨が短くなったり猛暑になり、冬は寒波や大雪に見舞われるという。
ギラード首相は水害地を視察し、政府としての緊急支援を約束し、クイーンズランド州政府とともにできる限りの災害支援に努めると述べた。また、世界各国からも義捐金や支援が寄せられている。
1月11日現在、$32,373,484の支援金が集まっている。クイーンズランド州洪水被害への支援金は、以下のサイトまで。
http://www.qld.gov.au/floods/donate.html
支援金はインターネットや最寄りの銀行、コールスなどで受け付けている。
クイーンズランド州の洪水緊急情報は、以下のサイトまで。