【シドニー22日AAP】 動物に財産権を付与するという過激な提案に対し、オーストラリア各地の農業組合が猛烈な批判を展開している。
ウェスタンシドニー大学のジョン・ハドリー講師が出したこの提案では、特定の動物に法的な財産権を与え、法廷で動物の弁護を行なう人間の保護者を任命するという。同氏は、動物に対して生息地にかかわる法的所有権を与えることこそ、生物多様性を保護する鍵であると述べた。また、同案が生物多様性にまつわる議論を活発化させ、最終的には国際的に認識されることを望むと語った。
これに対してSA州農業者連盟のピーター・ホワイト会長は、「どうして人間以上の権利を動物に与えるわけがあるのか」と述べ、ばかばかしい案だと非難した。また、VIC州農業者連盟のアンドリュー・ブロード会長は、ハドリー講師の発案が善意に基づくものだと信じているとしながらも、何も得るものがない案だろうと述べた。さらに、土地所有者は信用ならないという誤解を解消する必要性を強調しながら、農業従事者への教育や、科学への投資を高めることで、生物多様性は維持可能だと語った。
一方ハドリー講師は、「オーストラリアは生物多様性の損失率が世界で最も高い国のひとつであり、その主な原因が生息地の破壊にあるとされている」と述べた。