【シドニー6日AAP】 黒魔術ののろいを解くという名目で性行為を伴う「祈祷会」を開き、同意なく2人の女性信者に性行為を強制した男が6日、最低15年の禁固刑を言い渡された。被告のトニー・ゴロシアン(63)は、一部のギリシャ系コミュニティの間で、天使と意思を伝達できる「聖人」とされてきた。
犠牲者は両方ともギリシア正教会の信者であったが、自分や家族に対して、ガンや恐ろしい致死的事故を伴う黒魔術ののろいがかかっていると言われた。そののろいを解くとして、ゴロシアンはホテルの客室で「祈祷会」を開き、女性らを目隠しして性行為を強制した。
ゴロシアンはNSW州治安判事裁判所で6日、24件の有罪判決を受けた。その大半は同意なしの性行為に関するものだった。またゴロシアンの友人であるアーサー・サイコジオス(41)も、14件の類似の犯罪で最低12年の懲役刑判決を受けた。その妻のフランシス・サイコジオス(38)は、性的暴行を実現する意図で陶酔をもたらす物質を投与した罪などで、最低5年の有罪判決を受けた。
ホック裁判長は、「犠牲者のひとりは実質上洗脳されている」と述べた。また、両者とも多大な情緒的被害を受けているという。特に最初の犠牲者は、犯行を撮影したビデオの一部を夫に送りつけられた結果、その翌日には夫に見捨てられるなど、この4年半の間、恐ろしい試練を受けてきた。一方、被告の3人に対して同裁判長は、全員とも無実を主張し続けていることから、「社会復帰の見通しは暗い」と述べた。