【シドニー10日AAP】 産科瘻孔(ろうこう)に苦しむ4万人以上のエチオピア人女性を救ったオーストラリアのキャサリン・ハムリン医師(90)は、惜しくもノーベル平和賞の受賞を逃したが、55年以上にわたる治療と教育への貢献が評価された。
産科瘻孔は、長時間にわたる閉塞性分娩により、膣と直腸または膀胱との間に穴が生じる症状。エチオピアを含む発展途上国の女性たちにとって大きな問題だ。
ハムリン医師は10日、「産科瘻孔の撲滅も時間の問題だ」と話した。同医師は亡き夫のレグ医師とともに、産科瘻孔の現代手術手技を完成させ、1974年に主要教育機関のアディス・アババ・フィスチュラ病院を設立した。
ハムリン・フィスチュラ・エチオピアのペリーCEOは声明で、「ハムリン医師は、ノーベル賞の受賞有無にかかわらず、彼女の治療を受けるすべての患者にとって勝者であり、私の誇りの上司だ」と発表した。
ハムリン医師は、オーストラリア勲章受章、2回のノーベル賞候補、そしてオーストラリアの生きた伝説として認定されている。また、エチオピアのゼナウィ首相から同国の名誉市民に認定されている。
ノーベル平和賞は、子どもの権利を訴えるパキスタンのマララ・ユスフザイさんと、インドのカイラシュ・サティヤルティさんが受賞した。