【ブリスベン8日AAP】 連邦政府は先週、インドの複合企業アダニ・グループに対し、QLD州ガリリー盆地における炭鉱開発事業を許可することを決めた。アダニは毎年6000万トンの燃料炭をインドに輸出する見込みだが、周辺海域のサンゴ礁に大きな影響を及ぼすと懸念が広がっている。
グレートバリアリーフでは今年、サンゴ礁の白化現象がこれまでで最も進んだ状態となっていることが分かっており、オーストラリア国内の専門家らは政府の決定に大きく落胆している。オーストラリア海洋科学研究所(AIMS)はアダニ事業の許可の決定を受け、サンゴ礁保護のために設定された水質の目標値を達成するのは不可能とするレポートを発行した。
アダニ事業の訴訟で証人だったエコノミストのリチャード・デニス博士は、政府がサンゴ礁を保護したいとする一方で、パリの大きさの5倍ともいわれる大規模な炭鉱事業を許可するのは、「まったく筋が通らない」と批判。さらに「排気ガスの削減を目指す一方で、さらに多くの石炭を必要とする状況はあり得ない」と、矛盾を指摘した。