【ウルル・カタジュタ国立公園29日AAP】 NT準州に位置する先住民族アボリジニの聖地ウルルには、毎年何千人もの観光客が登っている。登る行為そのものは今ところ合法だが、先住民と観光客の考え方には依然として大きな相違があるようだ。
ウルルを訪れると看板に、「先住民の伝統において登ることは許されていない」とあり、「ここは我々の故郷。登らないで下さい」と書いてある。だが、実際に登るか登らないかの選択は観光客が各自で判断を求められているのが現状だ。
英国からのカップルは、「登らないで欲しいというのだから、それを尊重する」と述べ、登らない選択をした。グループで訪れた十代の少女は、歴史や文化について学んできたとした上で、「(登るかどうかは)自分で判断出来るのがベスト」と話した。また、バックパッカーの男性は、「良い写真が撮りたいだけ」と話し、登ることにした。
現地のレンジャーによると、訪問客のうち約30%は登ることを選択するという。また、海外からの観光客は先住民の意向を尊重して登らない人も多いが、オーストラリア人の中には、「自分たちの国、登って何が悪い」と憤慨する人も少なくないという。
現在の管理計画によると、ウルルに登る人が訪問客全体の20%以下となった場合、登山道を閉鎖するとしている。それまでは現在の状態が続くとみられるているが、閉鎖を望む人たちにとっては長い道のりとなりそうだ。