【シドニー10日AAP】 医学情報誌に発表された報告によると、皮膚がんのメラノーマ治療に使われるペンブロリズマブ(一般名:キートルーダ)が、末期の肺がん患者に有効であるとわかった。
すでに医薬品給付制度(PBS)に承認済みの同薬剤は、がん細胞のタンパク質標識に働きかけ、体内にがんがないと錯覚させる。オーストラリアを含む16か国のステージ4の肺がん患者305人を対象に行われた臨床試験の結果、12か月後もおよそ70%に生存が認められ、完全にがんの症状がなくなっている例も確認された。
ウエストメッド病院のリナ・フイ腫瘍内科医は、「従来の化学療法より有効な患者もいる」と話す。残念なことに、全肺がん患者のおよそ三分の一のみに有効とされる。
シドニー西部セントメリーズのマイケル・ゴードンさん(65)は、手術不可能の肺がんと診断された。2年半前に同薬剤の治療を開始後、今は症状がなくなっている。ゴードンさんは「ペンブロリズマブによって命が救われた」と話す。
肺がんは、単体では国内で最も予防可能な死亡原因。毎年国内で診断される3万7000人のうち、1万5500人は喫煙が要因とされる。