これまで効果的な治療法がなかった心不全に対する世界で初めての治療法開発が、オーストラリアで行われている。
メルボルンにあるバイオテクノロジー関連企業メソブラストの研究室で、心臓の筋肉と動脈を再生する骨髄内の細胞が発見され、細胞の体外培養にも成功。これにより、心臓発作を起こした患者に細胞を注入することによって心不全防止が可能になる上、慢性心臓病患者の心筋治療への使用も見込まれる。
開発に携わったヒト幹細胞研究の世界的権威アイテスク博士によれば、これまで心不全を予防・改善する治療法はなく、今回の開発の成功は現代医学のゴールの一つだとも言えるものだという。
年内にニューキャッスルのジョン・ハンター病院で10人の慢性心臓病患者に臨床試験を実施後、2006年にオーストラリア国内とアメリカで大規模な臨床試験を行い、3年後に心臓病薬の発売と併せた一般導入を目指す。
現在オーストラリア国内では、5人に1人の死因が心臓病で、年間15億ドルが治療にかかっている。