シドニー20日ー昨年12月11日に発生したシドニー、クロヌラでの人種暴動とその報復事件に関する警察の報告書がついに公表され、一連の事件がオーストラリア多文化社会のあり方に大きな影響を与えたという見方を示した。
この報告書は引退した警視監、Norm Hazzard(ノーム・ハザード)氏によってまとめられ、20日に公開。クロヌラ暴動は人種的な偏見、アルコールと煽動的なSMSであおられたものだと指摘。ハザート氏は、一連の事件について、 海外での治安紊乱事件や、先にNSW州内で起こったRedfern(レッドファン)やMacquarie Fields(マッコーリー・フィールズ)での暴動と似たものだと位置づけた。さらに、当時の巡査長が、暴動勃発に至るまでの人種間の緊迫状態を見誤り、それが原因で暴力的治安紊乱勃発の恐れを常に抱える社会情勢を招いたと指摘。また、携帯などのハイテク機器を使った攻撃は、事件を取り締まる際の新たな問題となり、このように仕組まれて社会不安が広がっていった過程が、前例のない激しい暴力騒動を国内に引き起こしたとまとめた。
この報告書には、事件報道の分析も含まれており、ラジオでの放送内容によって、英国系オーストラリア人全体が中東系の男達の攻撃対象とされているかのような社会認識を与え、事件が勢いづく原因になったと、マスコミの間接的影響を示した。
Carl Scully(カール・スカリ-)NSW州警察大臣、Ken Moroney(ケン・モロニー)NSW州警視総監は、まだ数名の上官から内容に関する返答が得られてないので、報告書は不完全だと述べた。