キャンベラ20日-オーストラリアで開発された世界初の幹細胞技術を応用した変形性脊髄疾患の治療法に、米国で臨床試験の許可が下りた。
培養された成人の幹細胞が、細胞と遺伝的につながりの無い椎間板疾患患者の治療に直接使用されるのは世界でもこれが初めての試みとなる。
今回の試験では、変形性椎間板疾患に苦しむ患者40人に幹細胞を用いた脊髄固定術が施される予定。脊髄固定術は、2つの椎骨を結合させることによって骨の動きと痛みを止める治療法で、現在は患者の腰部の骨を脊髄に移植しているが、二度の手術が必要となること、また感染や術部の長期的な痛みなど多くの場合に問題が併発している。
同技術を開発したメルボルンに本社を置くバイオテクノロジー会社Mesoblast(メソブラスト)の主任科学顧問Silviu Itescu(シルビ-・イテッス-)博士は、今回の臨床試験で幹細胞による脊髄固定術が骨の移植法と同等に効果的と認められた場合、患者は手術を一度受けるだけで済むようになると述べた。
研究者達は、幹細胞を用いた新しい治療法が、苦痛を伴う骨の移植による脊髄固定術に取って代わるものとなることを期待している。