シドニー17日-重度のフードアレルギーを持つ未就学児童の数が、過去10年で5倍に膨れ上がっていたことが明らかになった。報告によると、特に5歳未満の子供が重度のアレルギーやアナフィラキシーが原因で入院するケースが劇的に増加したという。
フードアレルギーで最も多いのがピーナッツアレルギー。次に、卵、牛乳、カシュナッツと続く。1994年から2005年の間で、アレルギー発作が原因で入院した数は100万人に対し39人から194人に増加した。
アレルギー専門家のRaymond Mullins(レイモンド・マリンズ)教授は、この異常な増加は各地で見られており、フードアレルギーが増加傾向にあることは明らかだが、その理由は不明だとした。
マリンズ教授のクリニックでは、過去12年間でアレルギー症状を訴え診療を実施した子供の数は4倍に増加。しかし、アトピー性皮膚炎、花粉症の発症数にはほとんど変化はなく、喘息については減少さえした。一方、フードアレルギーが原因で来院した子供の数は12倍に膨れ上がった。
フードアレルギーの反応には顔の腫れ、発疹、嘔吐があり、さらには呼吸困難などの危険な状態に陥ることもある。マリンズ教授によると、フードアレルギーは西洋社会特有のもので、ますます一般化しつつあるという。アレルギーは通常、人間が過度に清潔になり、ほこりなどのアレルギー誘発物質に体が適応できないことであるとされるが、フードアレルギーはこれに当てはまらない。フードアレルギーの原因としては、母乳、母親の高齢化、アレルギー誘発物質が含有している食べ物の普及などが考えられる。
報告書では、フードアレルギーの増加の再確認、国家の医療予算への影響の査定、予防策や新治療の計画を行うための大規模な研究の必要性が主張されている。