【ブリスベン14日AAP】クイーンズランド大学の気候・大気学者サミュエル・マークス博士の研究によると、オーストラリア東部で空中に巻き上げられた重金属塵が風に運ばれ海を越え、澄んだ自然で知られる国、ニュージーランドの西部を汚染しているという。
同調査では、大部分が手付かずの自然のまま残されているニュージーランド南島西部の氷河から採取されたサンプル中に、人為的汚染と関連性のある銅、鉛、ニッケルなどの重金属が発見された。また、繰返す干ばつと洪水の後、多くの風塵(ダストストーム)の発生源となっているオーストラリア中央部、エア湖とマレー・ダーリング河川流域からも風塵と堆積物のサンプルが採取されたが、ニュージーランドの氷河の方が、これらのサンプルよりもはるかに高い濃度で汚染物質が検出されているという。国内の大部分の人口と産業が集まる東海岸地帯を風塵が通過する際に、さらに大気中に浮遊する金属を吸着させてニュージーランドへ運ばれるためと考えられている。
マークス博士によれば、ニュージーランドへ運ばれる重金属量は、中国から吐き出され高い高度の大気層を通して世界中に広がり米国やヨーロッパを汚染している重金属塵の量に比較すれば、微々たるものだという。