【シドニー3日AAP】オーストラリアの高齢化が進む中、アルツハイマー病や認知症関連の症状の発症率が急速に増加している一方で、症状の診断が非常に遅れていることが新研究で明らかになった。
認知症が認められた家庭200世帯以上に調査を実施したところ、診断が出る3年以上前に症状が発症していることが分かった。家族は初めて医師の診察を受ける1年9カ月前に最初の症状に気付いており、最終的な診断が確定するのにさらに1年を要する。
NSW州・ACTオーストラリアGP(一般開業医)学会のキャサリン・スピーチリー博士は、診断の遅れはほかの西洋諸国にも見られ、診断の迅速化を目指し、さらなる努力が必要とした。「診断が遅れることで患者やその家族は早期の医療・社会的介入の機会を失い、診断が不確定のままの状態が続く」とスピーチリー博士。博士によると、恥ずかしさや症状の誤解が、治療やGPからの専門医の紹介が遅れる主な要因だという。
スピーチリー博士は「認知症の発症が増加している中、早期治療や社会的介入が可能になるような、早期診断を支援する仕組みを取り入れた医療制度の必要性がさらに高まるだろう」と話した。
65歳以上のオーストラリア人の認知症患者数は約20万人で、2031年までに46万5000人へ膨れ上がることが予想される。