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児童虐待、成人後のストレス処理能力に影響

 【シドニー23日AAP】研究の結果、児童虐待は成人後の脳のストレス処理方法に著しい影響を与える可能性があることがわかった。

 発育期に虐待を受けた子供は、脳の構造に変化が生じ、その結果ストレスホルモン関連の遺伝子(NR3C1)の発現が抑制される可能性がある。これにより、虐待を受けた子供はストレスの処理能力が低下する。

 今回のカナダの研究では、自殺した児童虐待経験を持つ12人の脳を虐待経験がなく自殺したグループと自然死したグループと比較した。

 クイーンズランド工科大学(QUT)医療・生体医学振興研究所のロス・ヤング教授は「研究結果から、NR3C1遺伝子の一部が虐待によって機能しなくなり、成人時のストレス反応に異常性を引き起こす可能性がある証拠を見つけた」と語った。

 また今回の研究で、NR3C1遺伝子の低発現がストレスが生じる状況に対する視床下部ー下垂体ー副腎系(HPA)の反応をどのように高進させるのかが明らかになった。HPA反応の高進は、自殺、気分障害、統合失調症の発症リスクを増加させることに関連があるとされている。

 ヤング教授は、研究結果は児童虐待防止の重要性を改めて強調することになったと語った。

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