♦いけずな富士山♦
先日、某雑誌の撮影によばれて大阪から東京へ新幹線で移動する事になった。
久しぶりの新幹線に乗り込んだ私は、”わーい富士山がみれるぅー”と、まるで小学生の遠足旅行かのようにしっかり窓際を陣取り、駅弁やらお菓子をノンストップで食べつづけながら、富士山の出現を待つことにした。
私が最後に富士山を見たのは、これまた小学生の中学年の時で、親に連れられ親戚のおばを訪れる為に、東京に行ったときである。 私が小学生の頃に見た富士山は、”ふーんでっかい山かー”程度のもので、あまり覚えていないのが正直なところだったので、今回の富士山見物を結構楽しみにしていた。
すっかり観光気分の私は、新幹線に乗り込む前に、「あのぉー、富士山が見たいのですが、どっち側に座ればいいですかねぇ?」と外人さんでも聞かない質問を平気でホームの駅員さんにし、その上「結構近くでみえますかね?一瞬ですかね?見逃したりしませんかね?」などと、お忙しい駅員さんに質問攻めにした。
そうすると駅員さんは「近くで見えますので、見逃す事はまずありません。 もう出発しますよ」と簡潔に答えてくれた。
片道で1万5千円程する新幹線のチケットには”富士山見物料金”でも含まれているのかな?などと余計な疑惑を持ちながら窓の外を見ていると、不思議な声を発声してお茶やサンドイッチ、おにぎりを販売するお姉さんが現れた。
そのお姉さんは、いろいろな食べ物や飲み物が詰まれたカートを押しながら、「んぉおーちゃーゃーー、んスワンドォーイッチィーー、んオォーコォーーヒィーわぁー、んーいかがぁーでぇーすかぁー」と、風邪をひいた八代亜紀が、酔っ払いながらこぶしをきかしているよかのような不思議な声で私の横をスーッと通過したときは、飲んでいたお茶を噴出しそうになった。
私の稚拙な文章で、彼女のこぶしを説明する事が不可能なのは大変残念だが、このような瞬間をその場で共有できる人がいないことは、ストレスがたまる大きな原因になると私はいつも思う。
話はそれたが、そうこうしているうちに名古屋を通過し、静岡に入り始めた私を乗せた新幹線は、猛スピードで突っ走っていた。
”よーーーっし!みるぞーーっ!”と鼻息荒く富士山出現の出番を待ちながら、カメラを取り出した私は、”オタク”そのものである。
オタクな私は”くそぉーーっ!富士めぇーー!出てきやがれーっ!”などと、何故か対戦意識まで出始めて、富士の出現を待ったが10分ほどたっても現れなかった。
”あれっ?あれかな??”などと思えるような山もなく、民家とちょっとしたはげ山が見える程度で、なかなか出てこない。
”くっそぉーー!富士めぇーー!逃げ隠れなどせずぅー出てきやがれー!”などと、何かの時代劇にでも出てきそうなセリフを胸に、富士の出現を待ったが、30分ほどしても出てこなかったので、”ちょっとまだ早すぎたかな?もうちょっと東京よりなのかな?”と地理までとんちんかんな私は、”うぅーーーうぅーー”うなりながら富士の出現を待っていると、突然車内アナウンスがながれた。
”まもなくぅー、新横浜ぁー、新横浜ぁーー”
”へっ??? し、新横浜???それって、新しい横浜の新横浜???へっ??富士山っ・・・・”
訳がわからないうちに、東京駅に着いた私は困惑と未知の世界に引き込まれながら新幹線を降りた。
スーツケースとカメラ器材とリュックサックを背負った私は呆然としながら、ホームの駅員さんの方向へずるずると体を忍ばせこう聞いた。
「あのぉーっ・・・今大阪から新幹線で来たのですけどもぉ・・・ こっちの窓側に座れば、し、し、新幹線から富士山が見えると聞いたのですけどぉーーーなかったのですよぉ。あれがぁ、あのねぇ、富士山がねぇ、なかったのですよぉ。」
そうすると駅員さんは私のカメラ器材をチラッと見て「お客さん、窓から富士山が見れないことないでしょー、あんな大きな山を見逃す事なんか普通ないですよぉー ふふふふーーっ」と訳のわからない含み笑いを残し去っていった。
普通見逃す事のない富士山を、心待ちに構えて待機していたにも関わらず余裕で見逃した私は、”富士山を見逃してはいけない”という想いから、トイレのチャンスまで見逃していたので、謎の富士山をあきらめ、駅内のトイレの看板を探し始めたる事にしたのである。
今回は富士山を見逃す事となったが、さいわいトイレの看板を見逃す事はなかったので、パンツをぬらす事には免れたものの、東京駅に飾ってある大きな富士山の絵画を横目にタクシーに乗り込んだ。
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