【プロフィール】
西川 哲夫 Tesuo Nishikawa
1978年生まれ。東京都出身。
ワンプライス アイウェアショップ CAL eyewearのオーナーとしてビジネス拡大中。
メルボルンに来たきっかけを教えてください。
メルボルンに来る前にマレーシアに2年間いました。マレーシアにいた頃は実は建築家を目指していました。ここに来た理由は、メルボルンに行きたいとかオーストラリアに行きたいとかという理由ではなく、RMIT大学の建築学科が面白いことをしているなあと知って、それでメルボルンに来ました。
それでCALさんのこういった店内のデザインがとても個性的というか他では見られないデザインなのですね。
そうですね。インテリアデザインなどは比較的自分でやりやすかったです。
CALを始めたきっかけを教えてください。建築からどうして眼鏡に?
眼鏡屋を始める前に、実は同級生と会社を立ち上げてデザインの仕事をやっていました。この会社を始めたのは自分の勉強していたものを生かせると思ったからです。初めてしたビジネスは小売業ではなくサービス業でした。
というと、コンサルティングみたいなことですか?
正確に言うと建築パース屋です。僕達の会社が手がけた建築パースはrealestate.com.auでもよく見かけますよ。建築設計をしている訳ではありませんが・・・。ハウスメーカーがこういうものが建ちますよっていう完成予想図の写真みたいなものがありますよね。あの完成予想図を作っています。その会社を同級生と立ち上げて、僕達の提供するサービスはどの会社よりも安く早く出来るので、一気に軌道に乗りましたが、とにかくライフが無いんですよ! サービス業にいきなり飛び込んだものの、結局は自分の知識を売る仕事だから、自分がその場に居ないと利益が生まれません。でもそのビジネスで勝負していたので常に24時間体制でやっていました。そうすると僕は家族がいるから、これはこのままやっていたら家庭崩壊だなって。そう思って次にビジネスをやるのであれば、自分に頼るビジネスではなくて、自分に頼らなくてもビジネス自体が成長するシステムを作りたいと思いました。
それで「眼鏡屋」というビジネスに行き着いたというわけですね。
日本人の自分にアドバンテージがあるとすればそれは何だろうという感じでずっとビジネスを模索していました。眼鏡にこだわっていたという訳ではないのですが。でも自分も眼鏡をかけるし、それにオーストラリアって結局安い眼鏡が無いんですよ。オーストラリアの現状を日本全国の眼鏡屋にメールで送っていました。オーストラリアの現状は、日本の格安眼鏡が登場する以前の日本の現状と良く似ていましたのでこれはビジネスになるかも知れないと思いました。そもそも眼鏡は若い人から年配の方まで、皆さん眼鏡をかけられますからマーケットが大きいのも魅力的でした。高齢化社会ですしコンピューター社会、ファッションとしての眼鏡も注目されているという意味で衰退産業では無いなと思いました。
こちらではサングラスも人気ですしね。
紫外線が強いですしね。そういうことが頭にあったので、眼鏡をビジネスとしてやったら面白いという感触がありました。サービス業と違って今度は小売業なのでその分初期投資はかかりましたが、ある程度自分の得てきたものを人にうまく伝えることができれば、そして僕の考えに賛同してくれる仲間が一緒に働いてくれるようになれば、自分の意志がみんなの意志になり会社として成長できるシステムができればと思い、CALを立ち上げました。
なるほど。眼鏡屋を始めるにあたって一番苦労した点は何ですか?
ええっと・・・、恐怖心です。眼鏡屋がどういうものなのか分からなかったので。本当に僕はこの国でやっていけるのだろうか?ということが、初め怖くて仕方ありませんでした。ましてや僕は異業種参入ですし。それにこの国では眼鏡を医療機器として捉えている部分が強いですので、僕はどんな資格が必要なのだろうか・・?とか。医療器具を輸入する時の認可はどうなのか?とか。分からないことだらけで。そういった分からないことをひとつひとつ潰していって、まだ分からないことが残ってないか?と考えること、この「分からないこと」が分からないという状況に一番苦労しました。全部潰していきましたが、そもそも潰していく範囲が分からないから。その範囲を知るのに一番苦労しました。
日本と比べてこちらの眼鏡屋の違う点はありますか?
ありますよ。例えば検眼医というシステムは日本にはありません。オーストラリアでは検眼医でなければ視力を測ってはいけませんが日本ではある意味誰でも検眼できます(技術の差はありますが)。また、日本はファッションアイテムとしての要素が強いですが、こちらではまだまだ医療機器としての要素が強いですね。眼鏡をもっと身近に感じて欲しいですね。
コンタクトレンズは取り扱わないのですか?
CALを始める時に最初から全てのサービスをしようとは思いませんでした。だから、コンタクトレンズも扱っていません。眼鏡だけというのが逆に強みだと思ったんです。“格安眼鏡=CAL”っていうイメージさえあればいいんですよ。コンタクトレンズは別にCALじゃなくてもいい。ちょっと不便ですが、お客様にはそれを上回る利便性がCALにはたくさんありますので気になりません。
どの辺の時期からビジネスとしてやっていけるという確信がありましたか?
はじめからですね。そう思わないと絶対にやりません。
では今後CALはどんどん店舗を増やしていくのですか?
そうですね。それが直営店なのかフランチャイズ店かは現時点では分からないですが、CALの良さをたくさんの人に知っていただきたいです。勿論広めていけたらいいなとは思いますが、分相応にやっていきたいです。基本的には金持ちになりたいとか野心は無いですから。お客さんがハッピーで、働く人が皆ハッピーで、自分の生活が安定していればそれで十分です。その状態で拡大していけるならいいですが、無理はしないです。
オーストラリア・マーケットでの販売への手応えはどうですか? 今は日本人のお客様、ローカルのお客様ですよね。
マーケットはローカルのお客様中心です。ローカルでもアジア人のお客様に関しては、顔の形が比較的日本人と近いですから眼鏡が選びやすいみたいです。オージーのお客様に関しては、基本的に当店では180ドルというワンプライスの価格設定が分かりやすく買いやすいみたいです。CALの眼鏡はマルチコーティング(反射防止コーティング、紫外線防止コーティング、傷防止コーティング)が薄型標準レンズに含まれていますのでオプション料金がかからないのも嬉しいみたいです。お客様はCALの180ドルを最初は疑いますよ。「180ドルと言ってもフレーム限られているのだろう?」とか。残念ながら全てのお客様には180ドルで対応はできませんが90%以上のお客様には追加料金無しで180ドルに収まるよう頑張っています。
マーケティングに関してはいかがですか?
独自のデータシステムを開発していて、アジア人のお客様何%とか売れ筋のフレームは?といったデータの詳細を取ることができます。そのお客様のデータをもとにしてとった数字をベースにメディアを選別して広告を出したり、その数字を在庫管理にも活かしています。広告デザインにもこだわりますし、ファッション雑誌の特集企画等にも参加しています。 マーケティングで一番力を入れているのは口コミです。実はCALは口コミ中心に広がっています。いくら広告をしてもお客様に来ていただけなくては意味がありません。お客様にがCALに来ていただいたら、何か一つでもCALの良さをお友達や家族に話してもらえるようにお店には様々工夫がしてあります。180ドルというわかりやすいワンプライス・システムもそうですし、眼鏡の即日渡しもそうです。フレームの種類の豊富さと手に取りやすさ、それに日本的な決め細やかなサービスもそうです。2本買ったら280ドルという友達を連れて来やすいところもそうです。語学も英語、日本語だけではなく、中国語も北京語・広東語と対応できるようににもしています。一度CALに来ていただいたお客さまがリピーターになっていただけることと同じくらい、CALでの体験をお友達に喜んで紹介していただけるサービスを心がけています。
サウスヤラに第一店舗を出したことは、とても大きいことだと思うのですが・・・?
格安眼鏡ですのでどうしても初めに一番恐れていたことは、「安かろう悪かろう」のイメージが付くことでした。安い、でも何故サウスヤラ?そのギャップをお客様に考えていただくことから始めました。将来的に店舗を増やすことを視野に入れていましたので、1店舗目は多少利益が少なくてもいいんですよ。サウスヤラにお店を構えることに意味があり、店舗自体がCALのブランディングイメージに繋がりますから。実際サウスヤラ店で買っていただくお客様の満足度は非常に高いように思います。1店舗目ブランドイメージのサウスヤラ、2店舗目は広告塔のシティ、そうしたら3店舗目はどこでもでもいいんです。180ドルの中にフレームの豊富さ、レンズのクオリティ、即日渡し、日本人的な決め細やかなサービス、そういった全てのサービスが入っての180ドル。それはオーストラリアのお客様にとってはとても安い価格であり、それをあえてサウスヤラで買っていただきます。CALのブランドイメージはあえてサウスヤラから始めています。将来的に格安眼鏡市場に例えばアジア系の同業他社が参入してきた時に価格遡及では勝負したくありませんでしたので、そのための必要な布石でもあります。また、サウスヤラで成功できれば他で家賃で怖いところはないですよね(笑)
シティ店を出したことで客足に変化は見られましたか?
お客様には郊外からわざわざサウスヤラまで足を運んでいただいておりました。シティにお店を出したことで、今までサウス・ヤラに来ていたお客様の中でも、やっぱりシティの方が便利だということで、シティ店に来てくれる方もたくさんいらっしゃいます。
CALを運営している中で今までに何か印象的なことはなにかありましたか?
開店当時からとにかくお客様にとにかく喜んでいただけた事、驚いていただけた事が嬉しくて、嬉しくて自分としてはとても印象的です。人に喜んでもらえる事が自分の仕事だって思えます。スタッフが応募してくる時にもちゃんとそのように伝えますし、スタッフもやはりそう感じてるみたいです。
CALさんでは日本の眼鏡屋さんのように眼鏡のクリーニング・サービスを行っているんですか?
超音波洗浄器を使用してクリーニングサービスをさせていただいております。
購入された方へのサービスとしてされているのですか?
サービスというか当たり前のこととして、購入される、されないかかわらずクリーニングさせていただいております。
こちらの眼鏡屋さんにもそういったクリーニングサービスはあるのでしょうか?
あまり見かけないですよね。
ではCALさんのこの夏の一押し商品は何ですか?
アラレちゃん眼鏡です。シティ店で若者を中心に受けているみたいです。
サングラスのオススメは?
ジル・スチュアートとスティングです。
では現在、1店舗目、2店舗目と順調にお店を広げていらっしゃいますが、3店舗目へ向けてはどうですか?
多分2店舗目が出来た時、スタッフは大変だったと思います。いきなり放り出されて、でも売り上げもサービスも維持しなくちゃいけない。スタッフの成長を信じようと思ったので、2店舗目は強制的に僕が店に立つ事をできなくした良い機会だったと思います。実際に彼らは責任感を持って行動してくれたことは何よりも嬉しかったですし、良い意味で僕自身もCALを手放せたと思いました。1店舗のマネジメントから2店舗目のマネジメントは大きなステップでしたが、2店舗と3店舗のマネジメントはそんなに変わらないのではないでしょうか。あとはスタッフに自覚と意志が芽生え始めた頃に3店舗の話は出てくると思います。
仕事と生活のバランスはどうですか? お休みの日はどのように過ごされていますか?
結構ビジネスに突っ走りたいっていう気持ちもあるのですが、仕事と家庭の両立は修行中です。なるべく子供と遊んであげたいと思います。
眼鏡の効果的な選び方を教えて下さい。
お客様のライフスタイルにもよりますが、機能重視のお客様には度数に合わせて眼鏡の厚みなどに気を配りながら、眼鏡が前面にでないよう工夫しています。お洒落にも気を使いたいというお客様には、ファッション感覚でとにかく色々なフレームを試してもらいたいです。一見格好良くても掛けるとちょっと違ったり、その逆もあったり。効果的な選び方は、お友達やパートナーの方など一緒にいる時間が長い方の意見を取り入れられると良いと思います。
こちらではどんどん試着しても大丈夫なんですね! 他の眼鏡屋はガラスの中に入っていたりして気軽に手に取ることが出来ないイメージがあります。
大丈夫です。デートなどで来てくれてもOKです。むしろ来てほしいです。お買い上げにならなくてもいいんですよ。ここにCALがあって、CALってこういう店なんだって知ってもらえるだけで十分です。スタッフにもお客様が入ってきたら絶対売らなきゃいけないなんて教えて無いです。CALのコンセプト、CALでの遊び方を知ってもらってから帰ってもらうということを心がけています。その場で買っていただかなくても、今度眼鏡買う時にCALで買おうってお客さんに思ってもらうことが大切なので。だから気軽にどんどん遊びに来て、楽しんでいってください!!
C A L eyewear
E-mail:info@caleyewear.com
tn@caleyewear.com( 日本語 )
SOUTH YARRA SHOP
住所:155 Toorak Road
South Yarra VIC 3141
TEL / FAX : (03) 9866 8820
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日曜日 : 12pm – 5pm
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