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ロルファー 塩川 恵さん インタビュー

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ロルファー 塩川 恵 さん インタビュー

  

(右:塩川 恵さん)

[プロフィール]

塩川 恵 Kei Shiokawa

神奈川県出身。米国ロルフ研究所公認ロルファー。Australian Rolfing Association 及び、 Australia Traditional Medicine Society 会員。2008年よりメルボルンにステイ中。『MIYABI』やその他でロルフィング&筋膜リリースのセッションを行う。

インタビュアー:小泉 京子、倉地 亜矢美

まず、ロルフィングとはどのようなものか教えてください。

元々ストラクチュアル・インテグレーション(Structural Integration:構造の統合)と呼ばれていて、アメリカの生化学者:アイダ ロルフ博士が作ったオリジナルのボディーワークです。筋膜にはたらきかけ、重力下で体の構造を正しい位置に戻していきます。今でも後継者が知恵を出し合って新しい技術を取り入れながら研究に励み、よりよいロルフィングを練っています。日々進化しているので日々勉強ですよ。

では、ロルフィングはまだ新しいボディーワークということでしょうか?

コロラドにあるロルフィングの専門学校が設立されたのが1978年なので、新しいと言えるかもしれません。体を局所的に診るのではなく全身をみるメソッドで、その頃さかんになってきていた様々な代替医療の中でも画期的なものでした。現在、ロルファー(ロルフィングの施術者)は世界に2000人程度、オーストラリアにはまだ20人ほどしかいませんのでまだまだこれからですが、アメリカをはじめヨーロッパ、日本などではロルフィングの需要が高まってきていて、時代が来ているのが感じられます。

ロルフィングを始められたきっかけは何ですか?

目をわずらってしまい、ステロイド剤などの強い薬を使っていました。しかし、その副作用でドンドン悪くなってしまいました。それが分かったときに西洋医学に少し疑問を持ち、東洋医学の学校に進学しようと考えていました。ちょうどその時に、雑誌でロルフィングの記事を見つけ、偶然にもその翌年に、日本で初めてのロルフィング・トレーニングが東京で開催されることを知りました。その頃はまだまだ日本でもロルフィングは知られていませんでしたが、“体の全身を見る”ということと、“東洋医学”とのつながりを感じ、進むことにしました。結局、東洋医学へは進みませんでしたが、今でも興味はあり、勉強してみたいと思っています。

(右:塩川 恵さん)

実際にトレーニングを受けてみていかがでしたか?

トレーニングを通して、しっくりくるものがありました。さらに勉強したいと思い、2002年の夏にアメリカへ留学する決意をしました。コロラドにロルフィングの本校があり、そこに通いました。日本でのトレーニングも本場コロラドから先生を招いて行われています。

オーストラリアに来たきっかけは何ですか?

トレーニングには段階があり、2004年に最終トレーニング(ユニット3)をシドニーで受けました。世界中、色々な場所でトレーニングが開催されていて、まだ行ったことのない場所で受けたいという思いからシドニーを選んだのがオーストラリアに来た最初のきっかけです。そのトレーニング終了後、3年ほど日本でロルフィングをやりました。

ロルフィングの講師をされていたのですか?

先日の「新老人の会」のようなワークショップでは講師として2度教えたことがありますが、私は主に一対一のセッションをしています。一対一ですとハンズオンでマッサージの要素が入るので、自分に向いていると思っています。その方が得意ですね。

ロルフィングを受けると生活の仕方は変わりますか?

変わりますね。呼吸、立つ、歩くと言った動作が楽に出来るようになったり、柔軟性も向上します。ロルフィングなどのボディーワークを受けると自分の本心とつながりやすくなり、無理をしなくなるため、「会社を辞めました」と言う方もいます。心身のバランスもとれてきます。また、ロルフィングのセッションを通して、姿勢の改善、バランス感覚の向上や美しい動きを手に入れることが出来ますよ。

ロルフィングとマッサージの違いは?

一番の違いは、“自分の体を知る事ができる”ということです。マッサージを受けても、普段の姿勢や体の使い方が悪ければまた元に戻ってしまいますし、持っても1~2週間程度ですね。しかし、ロルフィングはどうように体を使っているのか意識し、再教育していきます。また、痛みの原因が分からなかったり、ストレスを感じているのに我慢している方もいらっしゃると思います。セッションは毎回違うテーマごとに行い、段階的に自分の体の声を聴くことが出来るようになります。自分自身でその変化を自分のものにできるので、持続効果が期待できます。

~創始者アイダ・ロルフのレシピ~    

10回の流れ

1. 呼吸: からだをひらく

2. 足: 地につく感覚

3. 体を立体的に: 3Dにいる感覚 

4. 脚の内側・骨盤底:すっきり立つ

5. 内蔵空間・大腰筋:さっそうと歩く

6. 仙骨・脊椎を自由に:しなやかさ

7. 首・頭(顔): 新しいビジョン

8. 構造と動きの統合

9. 構造と動きの統合

10. 全身を統合  

※1~3は表層、4~7は深層、8~10で統合。

人間は生活をしていく中で体が歪んでしまうのでしょうか?

コラーゲンと水で出来ている“筋膜”が体のボディーパーツを一つに繋ぎとめています。筋肉、骨、内臓、血管の周りを包んでいて、筋膜をはずすと体の形になるくらい全てに行き届いています。私達は直立を維持するのに三半規管の他、筋膜を通して体のバランスを取っていますが、体はあらゆる過去の積み重ねで出来ています。遺伝子的なものの他、育った環境、過去のけが、感情、習慣が体に負担をかけていることが考えられますので、その負担を取り除き、リセットできるのもロルフィングに期待できます。

従来のストレッチですと、筋肉を伸ばすことに重点を置いていますが、ロルフィングは筋膜に働きかけるということでしょうか?

そうですね。ゆっくりとストレッチを行えば、筋膜も伸ばすことが出来ますが、拮抗する筋とのバランスや全身のつながりも考慮しなければならないので、自分では難しいかもしれません。 特に関節の周りには筋膜が多くあり、筋肉をサポートする役割を果しています。繰り返しの動き(日常動作、癖など)を体は覚えてその動きをしやすいように筋膜もそれをサポートします。マッサージで筋肉をほぐすと血行がよくなり若干は戻りますが、残念ながら筋膜にはたらきかけなければリセットされません。普段の生活や姿勢を見直すことも重要です。

どんな方にロルフィングはおすすめですか?

子供から大人までどんな方にもおすすめですよ。体をあまり動かさないデスクワークの方も、逆によく使うダンサーもパフォーマンス向上のためにロルフィングを取り入れています。スポーツ選手や音楽家、俳優さんにも高い支持を受けていますよ。

©Copy Right Rolf Institute

MIYABIさんで働くことになったきっかけは何ですか?

日本でマッサージのお仕事を探していました。インターネットで『MIYABI』で見つけ、応募したのがきっかけです。なので、メルボルンに来る前から『MIYABI』で働くことを決めていました。ここはスタッフ同士も仲がよく、とても働きやすいので、良かったと思っています。

今後の夢はありますか?

もっとオーストラリアでロルフィングをやりたいですね。まだまだロルフィング人口が少ないので、これから増やしていきたいです。そして、自分なりのロルフィングを極めていければと思います。今回、ワーキングホリデーでメルボルンを訪れて良かったと感じているのは“自分の人生を楽しめている”からです。もちろん、日本での生活も楽しいですが、今の方が自分の道に沿って歩いているように思います。これからも“自分の人生の楽しみながら”ロルフィングをやっていきたいです。もしロルフィングに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ気楽にご連絡ください。

お問い合わせ(Email): shio101@hotmail.com

Australia Rolfing Association/ http://www.rolfing.org.au

Rolf Institute of Structural Integration (USA)/ http://www.rolf.org/

MIYABI/ http://www.miyabi.com.au/

『MIYABI』の紹介記事はこちら

 

 

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