どうしてオーストラリアの国家元首は英国のエリザベス女王なの?
オーストラリアは英国の植民地としてスタートしました。そのため国家元首には今でも英国女王のエリザベスⅡ世が君臨し、
各州にはエリザベスⅡ世の代理として州総督がいるわけですね。
でも、自分たちは1901年に英国植民地から独立してオーストラリア連邦を結成したのだから、立派な独立国だ。
いつまでも宗主国の英国を引きずっていていいの?という声が高まってきました。
そこで「オーストラリアは共和国になるべきだ」という運動が始まります。英連邦の国という立場からすっかり足を洗って、
自分たちが選んだ大統領を持つ共和国として名実共に独立しようということです。そのためには憲法を改正して共和国=Republicに
しなければなりません。そして1999年に憲法改正のための国民投票を実施しましたが、結果は、55%が反対、45%が賛成でした。
No | 641万787 | 54.87% |
Yes | 527万3,024 | 45.13% |
無効 | 10万1,189 | 0.86% |
(総得票数1,178万5,000 投票率95.10%)
事前に実施された各世論調査でも共和制支持が多く、国民投票をしても共和制支持が多数になると見られていましたが、
結果は反対でした。その理由は質問内容にあるといわれています。
質問は、「To alter the Constitution to establish the Commonwealth of Australia as a republic with the Queen and
Governor-General being replaced by a President appointed by a two-thirds majority of the members of the
Commonwealth Parliament.」というものでした。
つまり、「連邦議会の3分の2以上の支持で選出された大統領が、女王や連邦総督に代わる」というものです。共和制支持派の多くは、
大統領は国民が直接選ぶべきだと思っていました。そのため国会議員の選出によるということは認められなかったのです。
ちなみに、2008年に実施された世論調査では、質問を以下の2つに分けて聞きました。
(1)共和制を支持しますか?
(2)大統領をどう選びますか?
その結果、(1)は50%が支持、28%が反対でした。(2)は80%が国民による直接選挙、12%が議会による選出、という結果でした。
ところで、先日実施された世論調査では、共和制支持がここ16年で最低となり、多くの国民が君主制の維持を支持しています。
この調査では、「オーストラリアは共和国になるべきか」との問いに対して、48%が「憲法改正に反対」と答え(2008年から8%増)、
44%が「改正に賛成(同8%減)」と答えています。(ニールセン、2010年8月10-12日、1400人)
興味深いのは、回答者の31%が「オーストラリアは共和国に決してなるべきではない」と答え、29%が「できるだけ早く共和国になるべき」
と答えていますが、34%が「エリザベス女王の治世が終わってから共和国になるべき」と答えていることです。
つまり、エリザベス女王が退位すれば、共和制移行を支持するということです。
オーストラリアではエリザベス女王の人気が高く、彼女が女王である限り、共和制への移行はふさわしくない、ということですね。
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