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【雑学】役には立たない雑学のタネ(その12)どうして首相が決まらない?の巻

選挙が終わったのに、どうして首相が決まらないのでしょう

2010年8月21日に連邦総選挙が行われました。連邦議会は二院制で、今回は下院全議席と上院の改選議席が選挙で争われたわけです。オーストラリアの連邦議会は、下院で過半数の議席を獲得した政党が政権を握ることになっています。日本の衆議院と同じですね。

今回の選挙では、与党の労働党も野党の保守連合(自由党と国民党)も、ともに下院の過半数76議席を獲得することができませんでした。

とりあえず新内閣の組閣と新首相が選出されるまで、暫定的にギラード首相の労働党が政権を運営していますが、この先どうなるのでしょうか?

2010連邦総選挙の結果(下院150議席)(8月26日現在。開票率78%)

労働党 71

保守連合 73(自由党44/QLD州自由国民党21/国民党7/地方自由党1)

グリーンズ(緑の党) 1

無所属 4

未定 1

与野党いずれも過半数を握れなかったために議会が膠着状態となり、「ハング・パーラメント」(Hung Parliament=宙ぶらりんの議会)と呼ばれています。こうなると与党労働党はグリーンズや無所属議員と交渉して支持を取り付け、政権の維持に努めるものと思われます。もちろん保守連合も無所属議員との交渉に力を入れています。

最終的には、労働党73、保守連合73、グリーンズ1、無所属3という結果になると予想されていますが、グリーンズは政策的に労働党に近いため、無所属議員3人がキャスチングボートを握り、その動向が注視されています。無所属議員は地方部の選挙区の議員のため、農業政策や地方を活性化させる政策合意を求めると見られています。いずれにしても選挙の最終結果が判明するにはまだ数日かかるため、いま舞台裏では活発に交渉が繰り広げられているというわけです。

ところで、結果が判明するのにどうしてそんなに時間がかかるかというと、まず今回の選挙での投票総数が1408万8,260票と、前回2007年の選挙より約44万票も多く、さらに期日前投票などが180万票と、これも前回より約37万票多くて、開票作業に時間がかかり、選挙管理委員会では投票日から約2週間はかかるとしています。

もうひとつ、オーストラリアの選挙では、一人の候補者名を明記するのではなくて、立候補している人に優先順位をつけていく投票方式を採用しているために、当選者の票がほかの候補者に割り当てられていきます。この割当作業に結構時間がかかるので、特に上院の最終結果が出るまでには何週間、何カ月とかかることになります。(新聞には、開票作業のスタッフは、朝9時に来て、モーニングティーやアフタヌーンティーをいただき、さらにしっかりランチをとって、3時半に帰る、などと書かれていましたが、オーストラリア特有の公務員気質が影響しているのかもしれませんね。)

さて、「ハング・パーラメント」での新内閣の組閣ですが、与党労働党が無所属議員の取り込みに成功するのか、それとも野党の保守連合か、まだまだ予断を許さない状況です。日本では、比較第一党が過半数を取得できなかった場合、他党と連携を組んで連立政権がすぐ誕生しますが、オーストラリアの場合は二大政党制が根付いているため、他党と言っても、労働党と保守連合(自由党・国民党・QLD州自由国民党・地方自由党)のほかには、今回初めて下院に1議席を得たグリーンズ以外、政党がないため、さまざまな連立パターンを模索して政権を維持するということができません。その結果、キャスチングボートを握る無所属議員の取り込みということになるのですが、例え与野党のどちらが政権を取ったとしても、今後の国会運営は厳しくなるのが見えています。早晩、行き詰まるのではないかな。

前回、「Hung Parliament」状態になったのは1940年ですが、一旦は無所属議員2名の支持を取り付けたメンジーズ保守連合内閣が発足したものの、その後この無所属議員2名が支持を変えたため、翌年、労働党政権が誕生したことがあります。はたして、今回はどのような結末を迎えることになるのでしょう。ちょっと面白いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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