幼児期の赤ちゃんのことを、英語でトドラー(Toddler)と呼ぶのをご存知だろうか?
Toddleとは‘よちよち歩きをする’ことで、直訳すれば‘よちよち歩きをする人’。あなたの赤ちゃんも、
歩き始めたら正真正銘の’Toddler’である。語感はウルトラマンに出てくる怪獣みたいだが
(ガメラ、とかゴモラとか・・・)こちらでは一番赤ちゃんらしく愛くるしい時代の総称である。
よちよち歩き時代の赤ちゃんほど、人間として愛らしい存在はない。乳児の時代は髪の毛が薄い子も多く、
歯も生えていないので、親以外の人間にとっては、正直言って火星人や海坊主を思わせる赤ちゃんもおり、
男女の区別のつきにくい子もいるのだが、この頃になるとどの子もみな人間らしい可愛らしさが備わってくる。
柔らかな髪の毛、ふっくらとしたホッペ、小さな丸まっちい手足、つぶらな瞳に小さなばら色の唇。
言葉はまだ片言で、歩き方はよちよちして、頭が大きいのですぐに転ぶ。
ところが、この愛くるしいトドラー時代は、乳幼児期を通じて母親にとって一番大変な苦労の多い時代でもある。
まさに「怪獣!」と呼びたくなるほど!
なぜなら、トドラーというのは、本当に起きている間は一瞬たりとも目が離せない存在なのである。
トコトコと部屋の中を歩き回っては、母親が最も「触って欲しくない」と思っているもの(ハサミとか、電気コードとか、
汚れた靴とか、ワイングラスとか、口紅とか・・・とにかくありとあらゆる危険なもの、壊れやすいもの、汚いもの)に
まるで吸い寄せられるように近づいていって、触ったり口に入れたりするのである。
彼らは好奇心一杯で、これは何だろう? あれは? と次から次に触って、なめて、確かめずにはいられない。
言葉はまだ分からないから、トドラーにしてみれば、自分の周りの世界を、触ったり、においをかいだり、なめてみたり、
五感全てを使って確認し、学習しようとしているわけだ。
けれどもモダンなライフスタイルというものはとにかく「モノ」が身の回りにあふれており、そのほとんどがトドラーが
触ったり口に入れたりしては危ないモノばかり、といっても過言ではない。特にキッチンは危ないものが多い。
バスルームやランドリーも危ない。だから、トドラーの手の届きそうな棚や引き出しには全てロックをかけ、
使っていないコンセントは全て蓋をかぶせ、コードの類は出来るだけ赤ちゃんの手が届かないように家具の裏側に回し、
階段があれば一人で上り下りできないように柵をつけるなど、家中「トドラー安全体制」をしくことになる。
そうして家中をくまなくチェックして、ようやく母親は、「ちょっと一息」と朝の紅茶を入れて腰を下ろす。
つかの間の静寂・・・ん? でもこれが危ない。静かということは、どこかで何かやっている証拠!
あわててベッドルームに駆け込むと、トドラーがキャッキャと笑いながらそこらじゅうにティッシュペーパーを散乱させている最中。
ママはため息・・・である。 (さかな)
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