オーストラリアに来て、丸ごとの鶏肉を食べる機会が増えたのでは? 鶏1匹を買う場合、ナンバ−が表示されているが、あのナンバ−は重さ/大きさを表示しています。100g毎に数値は大きくなり、例えばNo.8は800g、No.10は1kgを表しています。鶏肉以外にもタ−キ−、鴨、うずら(quails)等も手軽に買え、特に鴨は日本と比べ品質が良く、価格も安定しているので、利用しない手はないですね。
(1)鶏肉の栄養
鶏肉は部位によって栄養価は大変異なりますが、全体的に高タンパクで低脂肪(皮以外)、低カロリーであり、脂肪の蓄積やコレステロールの増加を抑えるα(アルファ)リノレン酸がほかの肉より約7倍も含まれています。手羽先や皮、骨のまわりの肉には、コラ−ゲン、ビタミンB2,ナイアシンが多く、肌のはりとつやを保つ働きがあります。
(2)部位と調理法
日本とオ−ストラリアのカットは多少違いますが、大きく以下の様に分類されます.
●胸肉 breasts
脂肪分が少ないので味は淡白、火を通し過ぎるとパサパサした食感になる。蒸し物などに向く。
●ささみ tenderloin
胸骨に沿って左右1本ずつついている肉。形が笹の葉に似ていることから付けられた名称で、豚や牛でいえばヒレ肉にあたる。オーストラリアでは、胸肉に一緒についている事が多い。脂肪が大変少なく、淡白なので、サラダ、和え物に良い。タンパク質の含有率が高く、ボディビルダー・スポーツ選手やダイエット中の人の食事として代表的。中央に白い筋があるので、包丁で取り除いてから調理する。
●もも肉 thighs, legs, drumsticks, maryland
脂肪が多く赤身でこくのある味が楽しめる。これは鶏の主要な筋肉として使われる為である。骨を付けたまま調理されることも多い。骨付き肉のうち中央の関節で切り離した上の部分をドラムスティックとも呼ぶ。
●手羽 wings, drumlet
翼の部分で、手羽先(手羽中は太い部分)手羽もとに分けられる。 肉は少ないがゼラチン質と脂肪に富む。煮込むと旨みがたっぷりのいいダシが取れる。唐揚げ、焼き物、煮込み、出汁に適する。
●皮 skin
コラ−ゲンは多いが脂質が多く、カロリ−は高い。ささみ100gの脂質が0.8gに対し、皮100gは51.6gの脂質が含まれる。基本的には湯通ししてから使う。
●内臓 liver, gizzard
レバーはやわらかくビタミンA、ビタミンB群、鉄分、葉酸等を多く含む。なかでも、葉酸、鉄分は造血を助ける働きがあり、貧血防止や妊婦など、多量の鉄分摂取が必要な人には理想的な食べ物である。しかし、レバーは腐敗しやすいので、鮮度などに注意を払わなければならない。また、肝臓は体内で解毒を担う臓器であることから、家畜の飼育上使用された抗生物質などの蓄積によるリスクを注意する必要がある。砂ぎもgizzardは、鶏の第2の胃で砂袋ともよばれる。
(3)保存方法と安全性
空気に触れないようきっちりと包装し、冷蔵する場合(1℃)で3日以内、冷凍(-18℃)の場合は3ケ月で消費する。少しでも臭いがする場合は、使用しない。また、近年、カンピロバクタ−食中毒が増加傾向にあり、(主な食中毒症状は下痢、腹痛、発熱等で、予後は比較的良好)。鶏肉の関与が指摘されている。カンピロバクターは、加熱に比較的弱いので、鶏肉を生や半生で食べる事は避ける。
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管理栄養士、食育インストラクタ− 才川須美
Sumi’s Kitchen 主催