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今週は『絵本を身近に』の4つ目のテーマである『絵本と心の癒し』についてです。
日本ではここ数年来ずっと “癒しブーム” のようでリラックスできる音楽や映像、お香、その他様々なグッズが登場しているようです。私はそのブームにあやかったわけではないのですが、シュタイナーの幼児教育を学んでいる過程で “Therapeutic Story Making” というものに出会いました。
子どもの問題行動や恐れ、不安の根源を探って、それらを癒せる効果のあるお話を作り、聞かせてあげる、というものです。ですので、ここでの「癒し」はリラックスするといか、気持をほぐす、という意味ではなく、心に抱える問題を改善する目的の「癒し」です。
ではそういった本といえば “道徳の教科書“ のようなもので悪い行いを描いていさめ、良い行いを描いて奨励するのか、と思われるかも知れません。しかしそのように単純ではなく、子ども達や読み手がお話の中の登場人物と一緒に体験したり、その時の気持を共有していくことで、現実生活での”気づき“ につなげていくというものです。
分かりやすく言えば、おばけや夜を怖がっている子どもに「おばけは怖くありません。」と直接書いてある本を与えてもそのメッセージをそのまま受け取るということは少なく、(逆にそう言われるとますます怖くなるかも知れません!) 前向きな?!お化けのお話(今月のお薦め絵本)のように、好きだったおじいちゃんが亡くなって、お化けになってでてくるけど、何だか嬉しい。でもおじいちゃんはずっとお化けになっているわけにはいかなくていつかは天国に行ってしまう、というような話を聞いて主人公と一緒におばけ体験をしてみた方が効果的かも知れないということです。
もう一つ、絵本を通じての癒しで私が注目している分野に「Inner child – インナーチャイルド」 があります。文字通り自分の中にある子どもの部分という意味なのですが、これが実に奥が深いのです。子ども時代の体験(特に繰り返えし言われてきた事、されてきた事、させらた事、とても印象的な出来事など)は知らない間に私達の潜在意識(無意識)に入り込んでいて、今も私達の行動パターンや苦手意識に作用しているそうです。
子どもの本を読んでいると、何だかとても心に響くものがある、とか子ども時代を思い出してしまうという経験はありませんか? そこには何かの鍵が隠されているかも知れません。もしくは、これまで子どもの本は子どもだけのもの、と割り切って読んできた方も、もう一度 自分の子ども時代を意識しながら読んでみてください。何らかの気づきがあるかもしれません。
というわけで この「癒される絵本」シリーズでは、「癒し」に効果があると思われる本をその症状別にご紹介していこうと思いますが、それは子どもだけを対象にしているわけでなく、上に書いたように大人の皆様にも有効だという事を忘れないでください。
ただ、、、私は心理学や心理療法を専門に学んだわけではないので、私の個人的見解を基にしている点をご了承ください。
<今週のお薦め絵本>
「おじいちゃんが おばけになったわけ」
キム・フォッブス・オーカソン 文/エヴァ・エリクソン絵
菱木 晃子 訳 (あすなろ書房)
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