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いまの若者は…って、あんたもそうだったでしょ。

今日は日本は祝日ですね。「成人の日」です。昔は成人の日と言えば1月15日と決まっていたものですが、最近は、「ハッピー・マンデー」とか言って、月曜日を祝日に当てて、連休にしようというありがたい制度のおかげで、成人の日は1月の第2月曜日になっています。オーストラリアの祝日が、1st Monday, 2nd Mondayなどと決められているのと同じですね。

成人の日は、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日なんですって。でも、日本の成人の日と言えば、いつも成人式で暴れる若者の姿がテレビのニュースで流れているのを思いだします。みな、それだけ元気ならいいんですが、よく「日本の若者は軟弱だ」「最近の若者はなっとらん」「日本人の精神年齢は実年齢から10を引いた程度がちょうどいい」などと言われています。

オーストラリアの成人というのは18歳ですが、大人扱いする年齢は州によって多少違うんです。16、17、18歳がいちおう節目の年齢になっていますね。結婚が許されるとか、選挙権が与えられるとか、車の免許が取得できるとか。昔は徴兵制が20歳を対象にしていましたが、兵隊にする年齢はやはりしっかりとしていないとダメなのかしらん。

オーストラリアの若者は早くから家を出て、友人たちとシェアをして、独立する姿をよく見ますが、最近ではしばらく親と一緒に家に留まるケースが増えています。経済的な理由ですね。それでも行動力や将来に対する姿勢など、よく日本人の若者と比較されてしまいます。

以前、シドニー・モーニング・ヘラルド紙に日本の「草食系男子」についての記事が出ていましたが、あまりエネルギッシュに活動的な行動をとらず、リスクをとらない「巣ごもり」の若者が増えているという現実は、欧米人にとっては理解しがたい、不思議な感じがするのでしょうね。

昔、日本人は「青年よ大志を抱け」と言われましたが、いまでは「若者よ、海外に出よ」(ノーベル化学賞を受賞した根岸英一さん)と言われています。日本人の海外留学生数は年々減少の一途ですし、まさに巣ごもり状態です。

こんな状況を見て、若い人たちに対して、「近頃の若者は…」などというのは、もちろん40代以上の世代です。そりゃ、高度成長やバブル時代を経験している人たちにとっては、いまの若者を見るとそんなふうに言いたいんでしょうが、でもそれって不公平。

今年成人を迎えた人は、1990年生まれです。つまり生まれたときからバブルがはじけて、「失われた20年」を育ってきた人たちなんです。彼(女)らにとって体験したこともない景気の良さなんか知る由もなく、なんだか世の中暗っぽいし、将来もバラ色なんてもんじゃないし、でも一応いろんな物は溢れているし、頑張っても先が見えてるし、必死にならなくてもまあ生きていけるかな…、なんて思うのは当然でしょうね。

それまでの成長路線を客観的に見ることができ、いわば堅実な生き方を見つけてしまった「コストパフォーマンス世代」なんですね。リスクをとらず、巣ごもり状態で、でも堅実にじっくりと考えて生き抜く姿勢、そんないまの若者たちの生き方が見えてきます。

いつの時代でも若者は「シラケ世代」「無気力世代」「新人類」などとレッテルを貼られていました。もちろん時代状況に左右されることはありますが、そんなこと気にせずに、どの時代でも人は懸命に生きていきます。

こわいのは、今の日本社会がなにかにつけて、社会的バッシングをすぐしてしまうことです。もっと温かい目で見てやれないのかな、なんて思うんですけど。

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