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東川潤子さん(書道家)

伝統だけにとらわれない斬新な創作スタイルで注目を集める書道家、東川潤子さん。KIRIN「恵み」のレーベルデザインをきっかけに、シドニーのPEER GALLERYで10月15日に開催された「KIRIN PRESENTS GO FONT UR SELF*-CHAPTER 3」にゲストアーティストとして参加。当日は希望者のリクエストに応じて書の実演を披露し、来場者の喝采を浴びた。現在メルボルンを拠点に活動の幅を広げる彼女にとっての書道とは、そして創作とは…。

オーストラリアで書道の魅力を再発見。

創作を通じて「書」の楽しさを伝えていきたい。

元々幼少の頃から書を習っていたのですが、書道に楽しみを覚えるようになったのは、級があがるにつれて賞を獲るようになってからですね。先生に上手くなったねとほめられるのがうれしくて、それが新たなモチベーションとなって…、長く続けられる理由ってそういうことなのかも知れませんね。現在メルボルンで書道教室を持っているのですが、そんなふうにして私も生徒さんたちに楽しさを伝えていきたいと思っています。

メルボルンには、日本で知り合い結婚したオーストラリア人の夫の出身ということで移住してきました。初めの数ヵ月は、しばらく書道から離れていたんですが、ある時ふと、自分にしかできないことって何だろうと考えたとき、「私には書道がある!オーストラリアでも書道は続けたい」と気づいて、自宅の一室で書道教室を始めるようになりました。当初は、当たり前のように「白い紙に黒い墨」といった伝統的な書道をしていたんですが、ある時「私が好きなものを自由に取り入れた作品を作ってみたい」と思い、書道に絵やカラー、異素材を取り入れてみようとひらめいたんです。例えば、着物の生地を作品の一部に使ったり、その着物の色彩をモチーフに作品の中にそれと同じ色を使ったり、心に浮かんでくる情景を墨絵で描いたり…。おそらく、母が着付けを教えているということもあって、むかしから着物の柄のデザインや色使いには魅力を感じ、影響を受けていたんだと思います。日本の伝統や芸術のもつ美しさや魅力と共に、それだけにとらわれない自由な発想のもと創作するようになって、多くの方々から作品の注文をいただくようになり、日本領事館主催のイベントをはじめ、さまざまなギャラリーでの展覧会、デモンストレーションなど、活動の幅がぐんと広がりました。

そんなことがきっかけで、キリン「恵み」のレーベルデザインを担当させていただくことになったのですが、そこで書道の魅力を再発見することができました。今まであらゆる字を書いてきましたが、たったひとつのラインほど難しいものはなかったですね。にじみやかすれなどいろいろとアレンジを加えながら何百枚と書き、納得のいくものができ、採用していただけた時はただ感動でしたね。こうした創作活動が自信につながり、進む道を示してくれたような気がします。今後は、音楽や陶芸など多分野のアーティストとのコラボにも挑戦したいですね。そこからまた私の歩む書道に新たな可能性を発見できるのではないかと思っています。

 

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