日本ではアルコール分0%のノンアルコールビールやアルコールゼロビールが人気です。ビール風味の炭酸飲料ということで、結局、飲酒運転の取締が厳しくなったので、せめて味だけでもということでビールメーカー各社が競って販売し、ビールの売り上げが伸びているそうです。
オーストラリアでは、毎日、交通事故で4人が死亡し、80人がケガをしています。けっこう多い数字ですが、実は20年前と比較すると死亡者は半減しています。車が増えているのに交通事故の死傷者数が減っているのは、スピード違反や飲酒運転の取締り強化のおかげですね。
政府は2020年までに死傷者を30%減らそうという目標を掲げています。その目標達成の一貫として、26歳以下の若者を対象に、飲酒運転の取締規制を強化しようとしているんです。現在、アルコールの血中濃度(100ミリリットル当たりのアルコール含有量)が0.05となっているのを、0.02に下げるというものです。
実際にスウェーデンでは血中濃度の上限値を0.05から0.02に下げたところ、飲酒による事故が10%減少したと言います。
飲酒運転の取締は、アルコールの血中濃度がゼロ、0.02、0.05の3段階の上限規制があります。一般的に0.05が適用されますが、ゼロは、仮免許や初心者免許(P1とP2)の運転者、0.02はタクシーやバス、大型車両や危険物搭載車両の運転手に適用されます。
そこでフルライセンスを保持していても、26歳以下の若者には、より厳しく0.02を適用しようというのです。もちろんこの背景には若年ドライバーの飲酒事故が多いということがあります。
ニュー・サウス・ウエールズ州では、死傷事故につながる交通事故全体の18%は飲酒運転によるものです。特に郊外では27%と高くなります。そして3分の1が17〜24歳の若者によるものです。また、飲酒運転の90%は男性で、事故発生の時間帯は、木・金・土曜日の夜9時から深夜3時が最も事故の多い時間です。
こうなると、26歳以下の男には、毎週木・金・土曜日の夜9時以降は外出禁止令を出すしかありません。
だったら基準を厳しくして事故を減らそうよ、と多くの人が思いますが、実態はそう単純じゃないんですね。
専門家によると、飲酒運転による事故を起こす人は、0.02でも0.05でも同じ人で、1杯の飲酒で事故を起こす人だから、結局、規制を強化しても変わらないというのです。
こうなると車がアルコールを検知した場合、自動的にロックがかかる装置をすべての車に装着するのが一番だという意見も出ています。それに、飲酒の法定年齢を現行の18歳から21歳に引き上げようという議論も始まっています。
ゆくゆくはすべてのドライバーに0.02を適用するべきだ、ということになるのでしょうね。はたしてオーストラリアでもノンアルコールビールが売れていくのでしょうか。
タバコの煙が問題になると、煙のでないタバコを口にしたり、飲酒運転が問題になると、アルコールがゼロのビールを飲んだりと、厳しい取締に何とか規制に対処しようとする人間の悲しい性ですね。
でも、例えば、若者は深夜運転する場合、同乗者を乗せてはいけないという法律があります。事故が多いので犠牲者を増やすな、被害はお前一人にとどめろ、という法律です。でも実際には、多くの若者が仲間を車のブーツに隠して運転しています。これはこれで非常に危険なのですが、法規制をかいくぐろうとするのは、それこそ人間の悲しい性です。
飲酒規制もそんな結果を生み出さないように願うばかりです。(日本のノンアルコールビールが売れるのが一番ですね)
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