インターネットなしでは生きていけない世の中になってしまいましたね。こんな世の中、仕事でもインターネットを使っているので、どうしても勤務中に、ヤフーやグーグルにアクセスして、気になる情報を見たりしちゃいます。ゴメンナサイ。
会社にとって、社員が勤務中に私的にインターネットを使って、好きな動画を見たり、メールをやり取りしたり、ネットサーフィンしたりというのは困ったものです。仕事の効率が下がったり、ネット回線のスピード低下や経費の増加、さらに企業情報の漏洩リスクや社会的信用の低下など、あまり自由に私的利用を許してしまうと、大きなリスクを負うことになりかねません。
思い出すのは、2010年2月に、オーストラリアの銀行員が職場のパソコンでアダルト画像(女性のヌード)を閲覧する様子がテレビに映されてしまうという事件がありましたね。さっそくYouTubeにアップされて、全世界に配信されてしまいました。たまたま同僚がチャンネル・セブンの番組でインタビューを受けていた最中に、自分のコンピュータで画像を閲覧していたんですが、そのパソコンの画面がはっきりとテレビに映り、おまけに後ろを振り返ったために、自分の顔までテレビに映ってしまったというオバカな事件でした。
職場でのインターネットの私的利用は、仕事そっちのけで、そんなもの見ていると大変なことになるよ、という警鐘を鳴らしたニュースでした。
それでもおそらく多くの人は、会社でのインターネットの私的利用は「ある程度、必要なこと」と思っているはずです。これほど普及しているわけですから、ついつい仕事の合間に、息抜きに、ネットを使ってしまいます。インターネット利用について明確なガイドラインを設けている会社はまだまだ多くないようです。
日本では、ある調査によると、インターネット利用について「ガイドラインを設けている」としているのは43.5%、「暗黙のルールがある」としたのが41%。この「暗黙のルール」がいかにも日本的ですね。社員の自主性に委ねているのでしょうが、結局その暗黙のルールを社員全員が感じているのであれば問題ないのですが…。
最近では、FacebookやTwitterなどのSNSの利用が増えて、会社で利用する人も多くなっています。そこで、インターネットが利用できないようにネットを切断するのではなく、勤務時間中の私的なインターネット利用を計測して、一定時間以上の場合には警告するというシステムの導入が考えられています。
メルボルンのスインバーン工科大学とソフトウェア会社とが共同で作り上げたプログラムは、社員のインターネットの私的利用について、モニターするだけではなく、各部署や職種による平均値を算出してくれるので、他の人と比較してあまりにも利用時間が多いとか、一目瞭然となるわけです。また、自己管理ソフトもあって、長時間の私的利用には赤いランプが点滅する仕組みになっています。上司に怒られる前に、このへんで止めておこうということですね。
オーストラリアでは上場会社の上位100社のほとんどが、社員の私的利用をモニターするシステムを導入しているといいます。この私的利用ですが、いったい、どんなサイトにアクセスしているんでしょう?
アクセスサイトのベストスリーは、(1)ポルノ、(2)ギャンブル、(3)音楽ダウンロードサイトです。また、チャットをする人が増えていますが、平均利用回数の30倍もFacebookやTwitterを利用している人もいます。こうなると、まったく仕事そっちのけでネット中毒状態ですね。
だからこそ、何らかの防止手段を導入しようと会社は考えているんですね。まあ、会社のパソコンでアダルト画像をニヤニヤしながら見ていられては、困ったものです。
でも、会社は社員がスマートフォンのBlackberriesやiPhoneを使って、勤務時間外に仕事のメールをチェックしたり、仕事に利用しているのは当たり前といわんばかりに黙認していて、勤務時間内でのネットの私的利用に目くじらを立てるのはフェアではないと、先日の新聞の社説に書いてありました。さすがオーストラリアの新聞です。
「だいたい、FacebookやTwitterで家族と連絡を取り合うのは非常に便利だし、それにタバコ休憩を取るよりずっと健康的で短い時間だ。なにより、ネットの活用により、それまで友だちとおしゃべりするのでランチタイムが少し長くなったり、コーヒー休憩をわざわざ取ったりしていたのが、ネットの利用で済んでしまったり、お昼休みに長い行列に並んで銀行で手続きしていたのが、自分の机でインターネットバンキングができるのだから、随分と無駄な時間が減ってきているのが現実だ」なんて言われると、そりゃそうだと思っちゃいますね。
会社でのインターネットの私的利用はある程度、寛容に許されるべきです。もちろん限度があるのは当然で、極端に過剰なほど私的に利用しているのは問題だし、アダルトサイトやギャンブルサイトへのアクセスは論外でしょう。それでも、会社が不信感でもって社員を監視するような社内システムは作るべきではないでしょう。
社員が一人一人幸せだと感じる会社では経営者も幸せになるわけで、ソーシャルメディアの人気に、ある会社では社内にソーシャルネットワークを設けて、社員同士のコミュニケーションの向上に役立てようとさえしています。
そのうえ、会社でのインターネットの私的利用は、生産性向上の可能性があるという報告もあります。
メルボルン大学の研究によると、勤務中のネットサーフィンは集中力を高め、生産性を向上させる可能性があるんだそうです。仕事中に自分の楽しみのためにネットを利用する人は、それが勤務時間の20%以下であれば、ネットサーフィンをしない人に比べて9%生産性が向上したというんです。
この調査では70%の人が自分の楽しみのためにネットサーフィンを行っていて、最も多かったのは、商品情報の検索とニュースの閲覧で、インターネットゲームやYouTubeはそれほど上位ではありません。
「この生産性の向上は、例えば教室で講義を聞いていたとすると、時間がたてば次第に集中力は減退してしまうけれど、休み時間の後には集中力が戻っています。このことは職場においても同じで、短い休憩は、緊張を解き、心を休ませ、結果的に一日の集中時間を増やすことになり、生産性の向上につながる」ということです。
もちろん勤務時間の20%以下という限度があり、ネットに嵌まってしまうネット中毒とは違います。適度なネット環境を社員に提供するのは、かえって仕事の効率を高めることになるということを、企業は真剣に考える時期に来ているのかもしれませんね。
そんなこと言ったってオージーは限度を知らないんだ、いったん許してしまうと、またテレビに映されて全世界に会社の恥を晒してしまう、などと心配する社長さんも確かにいます。どこかで折り合いをつけないといけません。
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