3.11から4週間が経ちました。災害発生から緊急避難した被災者の皆さんは、いま、避難所での生活を送っていますが、この避難生活はあくまでも一時的なものです。一時的ですから、多少の不便はなんとかガマンできますが、それでも4週間、1カ月が過ぎてもこの状態が続くと、そろそろストレスが高まってきます。
一時的な状態が今後も見通しのないままにずっと続くとなると、大変なストレスになります。当初は物資の供給が最優先でしたが、これからは精神面での心のケアの必要性が高まってきます。
そんななか、避難所ではお年寄りが元気だという話しを聞きました。それまでずっと独り暮らしだったお年寄りが、避難所で多くの方と一緒に生活するようになり、途端に元気になったというのです。もちろん、そんな人ばかりではないでしょうが、人間にとってのコミュニケーションの重要性、人と人との触れ合いの大切さが分かるエピソードです。
今回の災害の課題には、避難所生活の早期解消、つまり被災地の復旧・復興という面と、もうひとつ、原発事故の解決ということがあります。
ご存知のように海外メディアでの原発事故のとらえ方と、日本のメディアのそれとは大きく異なります。どうも日本では政府や専門家の言葉を信用する傾向が強く、風評被害はあるにしても、放射能汚染は人体に影響があるほどの深刻さはないと思っている節があります。
その点、海外では、早速自国の国民に退去を呼びかけるなど、過剰な反応ではないかと言われるほどのメッセージをすぐに送っています。
この違いは、ヨーロッパにおけるチェルノブイリの恐怖を呼び起こしたことにあるのか、何でもお上の言うことに従順な日本人の国民性にあるのか、定かではありませんが、ひとつ言えるのは、あまり専門家の言うことを信用してはいけないだろうということです。
例えば、「ただちに、皆さんの健康に影響を及ぼす数値ではない」という発表をどう考えればよいのでしょう。(そうか、影響を及ぼすほどではないんだ)として安心するのか、(じゃあ、影響がある数値っていったいどの程度なの?)と疑問を持つのか、なぜ、マスコミはそのことを追求しないのでしょう。
「燃料棒が溶融しているという可能性がすこしでもあるということを否定するものではない」という専門家独特の言い回しを、なぜそのまま垂れ流すのでしょう。「溶融していると思われる」ということですね、となぜ言い返すことができないのでしょう。
わたしたちはとかく専門的な事象に対して、思考停止になって、専門家の言うことをただ聞くだけとなりがちです。そのため、普通の人たちまでが、居酒屋論議で専門用語を知っているかのようによく使います。カタカナ言葉もどんどん出てきます。で、その詳しい意味などあまり分かっていないのが本当のところです。
なんだか騙されているような気分ですが、そのまま聞き流している自分がいます。情報をいったん立ち止まって受け止めないと、思わぬ誤解をします。危機的なパニック状況ではなおさらです。
伝えることの難しさは、受け止めて分かり易く理解することの難しさにつながります。
専門家の発した言葉は一次情報ですが、実はその一次情報がすでに加工を施された一次情報だということをあまり知りません。
専門家は、専門用語を使って研究者向けに発表するような言い方では、一般の人は理解しないだろうと思っていますので、少し分かりやすく伝えようとします。ところが、そのときに大事な部分をはしょってしまいがちで、結果的に何を言っているのか意味不明になったり、所々に専門用語が入ってきたり、分かる言葉で伝えようとするあまり大きく本質からずれた言い回しになったり、ということが起きがちです。
そのことを私たちは知っておく必要があります。
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