アジアの国では、日本の原発事故による輸入日本食品への放射能汚染を懸念して、輸入規制や日本食品の排除など、現実に被害が出ています。

当初は、電源さえ通じれば、冷却水さえ還流すれば、などという希望的観測で、それほど時間がかからずに安定するだろうとの見方がされていた福島原発です。

ところが、安定、収束するどころか、「レベル７」という最高レベルまで危険度が増してしまい、いったい、当初の政府発表は何だったのか、という気持ちです。

どうも東京電力にしても、日本政府にしても、原子力安全・保安院や、原子力安全委員会にしても、お互いに連携するどころか情報を細切れに出してきて、しかもそれが、それぞれ微妙に異なる内容とあっては、いったい何を信じればよいのでしょう。

で、結局、「レベル７」というわけですから、この先どうなるのか、まだまだ不安が続きます。大手マスコミやテレビに登場する専門家は、ことさら「安全だ」と言って不安を抑えようとしているように見えます。でも、この間の情報の発信ぶりを見ると、本当にそうなの？　と疑ってしまいます。

中国や韓国などアジアの国では日本食品の汚染を非常に心配して、輸入を取りやめたりしています。オーストラリアには日本から生鮮食品や乳製品が輸入されていないため、それほど大きな騒ぎにはなっていません。海草類など多少ありますが、厳しい検疫で知られるオーストラリアですから、検査を通ったものはもちろん安全なので心配はないのですが、そこで風評被害が心配になります。

アジアからの留学生や移民が多いオーストラリアでは、その人たちの家族・親戚などから、本国での騒ぎが伝えられ、「日本食品は危ない」などという噂が広まると、ここオーストラリアでも日本食を警戒、敬遠する動きとなってしまいます。

現実に、市内の日本食品を扱っている韓国食料品店では、「当店に置いてある日本食品は地震前に輸入したもので安全です」という張り紙を出しているそうです。それじゃ、それ以降のものは汚染されているの？　と思ってしまいます。

香港の日本レストランでは客足がぱたっと止まってしまい、閉店するお店もあるとか。根拠のない噂はどんどん広まり風評被害となって、いま日本は、地震、津波、原発、風評の四重の被害に苦しんでいます。

発生1カ月となった4月11日に、日本政府は世界の主要紙に、菅総理の感謝メッセージを掲載しました。世界の国からの支援に対する感謝を述べたのですが、オーストラリアの新聞には掲載されませんでした。どうやら内容が内容なので、できれば無料で掲載してもらいたいという意向が通じなかったようです。いくつかの国の新聞は無料で掲載してくれたようですが、残念ですね。

感謝メッセージも大事ですが、いまは安全宣言をみなが望んでいます。早く世界の主要紙に「日本の食品は安全です」というメッセージを掲載したいものです。