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日本は信頼できる国か?

日本とオーストラリアは、これまでもっぱら経済関係を中心に発展してきて、いまでは「最も成功している二国間関係」と言われるほどの緊密な関係にあります。

最近ではオーストラリアを訪れる日本人観光客も少なくなり、バブルの時代の面影は無くなってきましたが、それでも国際結婚される日本人、特に日本女性が増えていて、着実にオーストラリアにおける日本人コミュニティは広がりを見せています。これは企業駐在員の現状とは正反対の動きです。

ひところは日本語ブームがありましたし、いまでも寿司ブームと言えるものがあります。日本のマンガやアニメも人気です。こう考えると、まだまだオーストラリアにとって日本はそれなりの存在感を持っているのだなと思います。

豪州における対日世論調査」(2009年)によると、一般のオーストラリア人が日豪関係を「良好・非常に良好」と考えている人は51%います。また、将来の関係においても「一層緊密化すべき」とした人は25%です。ただしこれは前回の調査(2006年)と比べると、それぞれ68%、66%から大きく減少しています。

逆に、「異文化の国であり理解の難しい国である」と思う人は前回の59%から79%に増加しています。「日本は信頼できる友邦であると考えるか」との質問には、60%が「いいえ」、20%が「はい」と回答し、前回の「いいえ」(12.4%)、「はい」(60.3%)から逆転しています。

なぜ、2006年と3年後の2009年の調査で日本に対するイメージが大きく変わったのでしょうか。考えられるのは、2006年は「日豪交流年」の年であり、2009年はラッド労働党政権が日本の捕鯨に反対姿勢を打ち出し、シー・シェパードの反捕鯨活動が活発化した年でした。

こうしたことを報道するメディアを通じて、日本に対するイメージがオーストラリア人の間で大きく変化したのではないかと思われますが、世論調査はその時の社会的な雰囲気に大きく左右されますから、多くの国民が本当に心からそう思っているのかどうかは割り引いて考えないといけません。

というのも、日本を「伝統と文化の香り高い国である」(97%)、「経済力と先進技術の国である」(87%)とする回答が、前回調査と同様に圧倒的に多いので、日本に対するイメージが大きく変化したわけではないようです。また、第二次大戦と日本人についての質問には、「歴史は知っているが日本には肯定的な感情を持っている」「第二次大戦への日本の関与は今日では重要なことではない」と回答した人は合計で88%います。

こういう結果を考えると、捕鯨問題などその時々で悪いイメージを持たれることはあっても、長い目で見ると日豪関係はやはり安定的な関係にあると言えるでしょうね。

ところで「日本についてもっと知りたい分野は何ですか」という質問には、「文化・伝統・歴史・宗教」(40%)、「日本人とその生活」(31%)、「観光情報」(30%)、「日本食」(30%)など答えています。また、参加したい日本関連のイベントには、「日本食」(77%)、「観光」(66%)、「日本の伝統芸能・文化」(60%)を挙げています。

こうしてみると、オーストラリアの一般の人々の関心は、緊密な経済関係とは別に、日本の文化や伝統、日本食や観光などにあることが分かります。

ところで、今回の日本の大震災に対するオーストラリア国民の感情が、当初の被災者に対する哀悼や支援の姿勢から、原発事故に対する怒りや恐怖に変化してきているのは問題です。メディアの報道姿勢にもよりますが、捕鯨問題同様、短期的にはマイナスイメージにつながるわけで、どうか日本政府には見事な復興を世界に示してもらいたいと願うばかりです。

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