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田んぼで電気?

5月23日に日本の国会で「参議院行政監視委員会」が開催されました。国会審議はよくNHKが中継するのですが、面白くないのか視聴率は極めて低く、ほとんどの人は見ていません。

この参議院行政監視委員会というのは、「行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査」ということをやっています。分かり易くいうと、政府がちゃんと仕事をしているか国会議員がチェックするというものです。まあ堅苦しいお話ばかりで面白いものではありません。

ただし、今回の「参議院行政監視委員会」は原発事故に関するもので、非常に注目されました。残念ながらNHKが中継しなかったために、多くの方は内容を知りません。インターネット中継されたのでぜひ見てください。→http://www.ustream.tv/recorded/14906087

今回、なぜ注目されたかというと、このような政府の委員会には、通常、大学教授など学者や知識人が参考人として呼ばれて説明にあたります。で、そのほとんどが、政府寄りだったり企業寄りのいわゆる「御用学者」と言われる人たちで、あまり実のある議論にならないことが多いのです。それが今回の原発事故にあたり、これまで必死に「原発は安全です」と叫んできた原子力専門家を呼んでも意味が無いことに気づいて、反原発・脱原発を主張してきた人が参考人として呼ばれたことにあります。

今回の委員会に呼ばれた参考人は、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏、芝浦工業大学非常勤講師の後藤政志氏、神戸大学名誉教授の石橋克彦氏、ソフトバンク社長の孫正義氏の4人です。小出氏はこれまで一貫して原子力発電の危険性を訴えてきた原子力の専門家です。後藤氏は東芝で原子炉格納容器を設計していた人で、技術者の観点から今回の原発事故の危険性を訴えています。石橋氏は地球科学者で専門は歴史地震です。地震国日本の原発の立地環境に警鐘を鳴らしています。孫正義氏は被災者支援のため100億円を寄付すると発表して注目されましたが、自然エネルギーの財団設立を表明しています。

議員相手に分かり易く説明していますので、原発事故の実態が理解できると思います。一番の問題はこれまで政府や役所が、原発メーカーや電力会社、そして御用学者と一体となって「安全な原子力発電」を押し進めてきたという実態です。これにマスコミも加えて、政・官・産・学・メディアの「原発ムラ」と称された一群の利権が絡んだ公共事業が原発だったのです。道路工事やダム工事とまったく一緒の構造です。

これからいろいろと明らかになってくるのでしょうが、注目したのはこれからのエネルギー対策として自然エネルギーの具体的な方法を示した孫正義氏の提案です。

これからは自然エネルギー、再生可能エネルギーを推進する必要があるということで太陽光パネルを設置して、自然エネルギーの割合を30%にまで高めるというものです。そのために日本中にある休耕田、耕作放棄地を利用して、さらに、被災地で津波を浴びて塩害が残る農地も加えて、大量に太陽光パネルを設置するという「電田(でんでん)プロジェクト」を提唱しています。

使われていない土地の有効利用ですから問題はないでしょうし、必要になったら元に戻せばよいので、確かにアイデアですね。また電気の全量買い上げ制を導入し、送電網の完全開放など、現行の電力システムの抜本的な改革を提案しています。

これまで政府が原子力発電を推進するために莫大な予算を費やしてきましたが、それを再生可能エネルギーに向けることで、一挙にエネルギー比率が変わり、もちろん雇用も生まれて、さらに被災地での発電には買い上げ価格を割り増しにするなど、支援につながるようにする具体的なアイデアです。

今回の大震災を将来の日本のあるべき姿に変えるきっかけにするには、このような大胆な発想と大規模なプロジェクトが必要なんでしょうね。残念ながら菅首相からはそんな具体策が聞こえてきませんね。

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