未分類

便乗値上げにご注意

ポケットの中や引き出しの奥、ソファの下や部屋の片隅に、1枚くらい5セント硬貨があるんじゃないですか?

一番小さくて目立たず、その価値も一番低いものだから、道に落ちていてもまったく見向きもされない5セント硬貨。

先日、政府高官が、この5セント硬貨を廃止しようと言い出しました。金属資源の価格高騰とインフレーションで、もはやほとんどその価値を認められない5セント硬貨。果たして5セント硬貨の運命や如何?

実際に、世の中で5セント硬貨がその利用価値を発揮する場所があるのでしょうか?

有料道路の料金所では、徴収員がいるゲートでは利用できますが、機械では5セント硬貨は使えません。

パーキングメーターでは、5セント硬貨は使えません。

自動販売機でも、5セント硬貨は使えません。

それに5セント硬貨を一度に5ドル以上使うのは違法行為になっています。(数が多すぎてカウントするのが大変だから、それぞれのコインには最高使用枚数が決められています。)

加えて、オーストラリアの法律では、お店がどの通貨を扱うかは自由に決められています。5セントコインを嫌がるお店があっても問題はないのです。

こうなると、5セント硬貨の利用価値は、まったくと言っていいほどないことになります。ただでさえキャッシュレスの社会になってきていて、人々はクレジットカードやインターネット・バンキングやオンラインショッピングを利用する機会が増えています。

だいたい、5セント硬貨一枚を製造するのに、製造単価が5セント以上になっているんです。5セント硬貨は、2.1グラムの銅と0.7グラムのニッケルで製造しているのですが、この材料費は3.6セントです。これに製造原価や配送コストがかかり、合計5セント以上になっています。1枚作る毎に何セントか損をしている計算になります。

1990年に政府が、1セントと2セント硬貨について、やはり製造コストが額面をかなり大きく超えているので廃止を発表しました。そして1992年までに1セントと2セント硬貨が世の中から消えていきました。

さて、5セント硬貨も、同様になくなっていくのでしょうか?  いずれにしても短い運命なのは確かなようです。

でも、ここで問題なのが、商品の値段と買い物の清算です。

1ドル100セントのオーストラリア・ドルの商経済では、1セント硬貨があれば、どんな値段のお買い物も問題なくできましたが、1セントと2セント硬貨が廃止になって問題になったのは、どうやって端数を最小単位の硬貨(5セント)に近づけるかということでした。端数を5セントもしくは10セントにするには、例えば、11セントや12セントは切り下げて10セントに、13セントや14セントは切り上げて15セントにするという、「2捨3入7捨8入」が原則です。

5セント硬貨があったので、1セントや2セント硬貨がなくなっても大丈夫という“5セント効果”が生じたのですが、その5セント硬貨がなくなると、通貨の最小単位が10セント硬貨になり、すべてのお買い物が10セント単位になってしまいます。

さあ、小売業者は端数の値段をどうするのでしょうか?  もちろんすべて10セントに切り上げるのが彼らにとっては一番の方法です。でも、97セントや98セントが1ドルになるのはガマンできるとしても、91セントや92セントが1ドルになるのは頭に来ますね。それに95セントは一体どうするのが良いのでしょうね?  四捨五入で皆さん割り切れるのかな?

そもそもの問題は、5セント硬貨の製造コストですから、それこそ安上がりな硬貨に作り替えれば済むことじゃないのかな?  例えば、アルミ硬貨にするとか…。缶ビールのプルトップのような大きさ、軽さ、薄さの5セント硬貨なら、1枚当たりの製造原価も5セント以下に抑えられるんじゃないのかな。まあ、ありがたみは格段に低くなりますが。

この記事をシェアする

この投稿者の記事一覧

その他の記事はこちら