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7月4日は米国の独立記念日。1776年のこの日、独立宣言が公布され、アメリカ合衆国が誕生したんですね。この日米国では国旗を掲げて、国民が盛大にお祝いします。
国旗といえば、日本では学校の卒業式や入学式で、国旗の掲揚と国歌の斉唱があり、その際に起立して国歌を歌わない先生は、教育委員会から処分を受けるというので、裁判沙汰にまでなっています。
国旗や国歌に対しての思いや考え方は、人それぞれ多様なのでしょうが、国としてはそれでは困るので、国旗や国歌に対して敬意を表してくださいとしています。でも、米国ではよくデモの際などに国旗が燃やされたりしていますね。抗議の意味を込めて、国家の象徴である国旗を燃やす行為がよく行われます。
日本の裁判では、最高裁は、「(学校の命令は)日の丸、君が代に対して敬意を表明できないと考える者が、歴史観や世界観に基づかない行動を求められる点で、思想、良心の自由を間接的に制約する」としています。つまり、校長の指示は、日本の国旗は嫌いだと考える自由を邪魔しているというんですが、同時に、「この間接的な制約が許容されるかどうかは、職務命令の目的や内容、制約の態様などを総合的に比較して、許容できる程度の必要性と合理性が認められるかどうかという観点から判断すべきだ」として、「憲法19条に違反するとはいえない」としました。結局この結論は、「これくらいガマンできるでしょ」というものです。
憲法19条は、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」というものです。この「自由」に対する考え方や許容の度合いは国によって異なり、米国などはさすが独立戦争を戦っただけあって、自由は非常に大事なものだとしています。ですから国旗を燃やす自由を認めているんですね。
さて、オーストラリアではどうなのでしょう?
オーストラリアで国旗をたとえ燃やしたとしても逮捕されたりはしません。「国旗を焼いたり破ったりしてはいけない」という法律がないんですね。
これまでにも、2002年にメルボルンの学生が反戦デモでオーストラリアと米国の国旗を燃やしましたが、逮捕されませんでしたし、翌2003年にもパースで国旗が燃やされてデモ参加者が逮捕されましたが、すぐに釈放されました。理由は、国旗を燃やす行為は表現の自由のひとつで、その自由は憲法で保証されているというものでした。
燃やしたり、印刷してタオルにしたり、下着にしたり、踏みつけたり、破ったり…。まったく自由なんですね。でも、もちろん自分の国旗をですよ。人様の国旗や、お店や役所に掲揚されている国旗を取り上げて燃やしたりすると、窃盗の罪で捕まります。でも、自分のものを自由に処分するのは問題ないんですね。まさに表現の自由として保証されています。
それに国旗のデザインを広告に使ったりすることも許されています。「敬意をもって」使用する分には何の問題もありませんというのですね。
注意しなきゃいけないのが先述した窃盗や器物損壊です。2005年のシドニー郊外のクロヌラでの人種暴動事件の際に、RSLクラブから取ってきた国旗を傷つけたということで刑務所行きになった人がいます。また、2003年にアボリジニの人が旧国会議事堂から国の紋章を取ってきた事件でも有罪判決がおりています。ただし、国の紋章を不敬に扱ったということではなくて、あくまでも器物の窃盗ということでした。
国旗を燃やすというのは、愛国者にとっては腹立たしい行為ですが、国を愛するがゆえに間違った政策には国の象徴である国旗を燃やして抗議するというのですから、一理あるのかもしれませんね。「これくらいガマンできるでしょ」というのは議論を深めることなく「お上のいうことを聞きなさい」ということになるのでしょう。表面的な行為自体をとらえて罰するのがよいのかどうかが問われているのだと思います。
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