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勝手にお金が出てきたらどうしよう?

毎日、会社の近くのコーヒーショップで、アフタヌーンコーヒーを手にするのが日課になっています。いつも頼むのはラージサイズのカフェラテ。ある日、女の子がレジに立ち、3ドル40セントの料金に私は2ドルコイン2枚、4ドルを払いました。お釣りの60セントをもらおうと差し出した手に彼女が入れてくれたのは、1ドル60セント。私の頭の中は「?」。1ドル多いのでそれを返すと今度は彼女が「?」。チップと思ったのか、怪訝な顔をしながら1ドルを受け取りました。

そんなことがあった日から1週間ほど過ぎた頃、くだんのコーヒーショップでラテを注文しました。すると、この時も同じ女の子がレジに立ち、そして私は同じように4ドルを払い、彼女もまた同じように1ドル60セントのお釣りをくれるのでした。

いつもはコーヒーを入れてくれるお兄さんがレジをするので間違いはないのですが、どうもこの女の子、暗算が苦手なのか、それとも私だけにか(まさかそんなことはないでしょうが)、とにかく2度も同じ間違いをするのでした。このとき私は、手の中に光る1ドルコインをちらっと目にしましたが、ついそのままポケットにお釣りを入れてしまいました。ゴメンナサイ。

最近ではカード払いが増えたり、レジの機械の性能アップで、お釣りを間違えられることも少なくなりましたが、以前はよくありました。暗算の訓練をしている日本人はよく、オージーは計算ができないね、暗算できないんじゃないの?計算間違いが多いよ、などと話していました。

スーパーのレジでお釣りを確かめることなく買い物を済ませた後で、お釣りが多かったことに気づいたりしたことがよくあります。そんな時はラッキー!なんて思いましたが、先日の事件はラッキーどころかアンラッキーな結末に驚きました。

シドニーのハーバーブリッジを渡ったところにある遊園地「ルナパーク(Luna Park)」で、17人の従業員が解雇されるという事件がありました。営業不振でリストラ? と思いましたが、なんと! 不正行為でクビになったというんです。

ルナパーク内に設置してある銀行のATMから不正に現金を引き出したかどで、7月8日(金)、17人の従業員が解雇を言い渡されて警備員によって退社させられました。

金に困ってATMを壊して中から現金を盗んだのかと思いきや、このATMが20ドル紙幣の代わりに50ドル紙幣を出したことが原因でした。

20ドル札が出るところ50ドル札が出てきたものですから、そりゃ、驚いて残高を確認して、でも残高はちゃんと合っているわけだから、「ラッキー!儲けちゃった」となりますよね。そうなると、心の奥から「…もう一度やってみな…」という悪魔の声が聞こえてくるものです。

で、ついついやってしまったところ、またしても50ドル紙幣が出てくるではありませんか。こうなると、おそるおそる試したことが、今度は大胆不敵に、何度も繰り返すことになり、そこでやめておけばよいのに、こんな幸運は親友にも教えてあげようと、「絶対誰にも言っちゃダメよ、あのATM壊れているらしく、20ドルの代わりに50ドルが出てくるのよ…」と親切にお友だちに教えてあげちゃうんですね。どうも人間というのは一人で秘密を抱えるのは不安なようです。

その結果、私も、俺もと、20人もATMに行列を作ることになり、中には何度も駆けつけてはお金を引き出す人がでてきて、ついにはマネジメントが知るところとなり、みなさん御用となったわけです。

どうもルナパーク側がATMにお金を入れる際に、20ドル紙幣の収納スペースに50ドル紙幣を入れたようです。200ドル程度引き出した人から数百ドルや自分の口座の残高がなくなるまで引き出した人もいたそうです。

この事件の教訓は、「秘密は自分ひとりで、幸運は独り占め」ということでしょうか。ちょっとした出来心なんでしょうが、解雇されるとは誰も思ってもいなかったと思います。

それにしても、昔々、まだ公衆電話から国際電話をかけていた時代、何かの故障でお金を入れなくても電話がかけられる公衆電話があると、どこから知ったのか、何人もその公衆電話に列を作って国際電話をかけたものです。パーキングメーターでも、お金を入れてセットしたところ、お金が戻ってきてラッキー!ということがあります。

まあ、電話にしてもパーキングメーターにしても、たまたまの故障に出遭ってしまって、そのまま使っちゃったということですが、ATMはいけません。多額の現金の不法取得で立派な犯罪行為になってしまいます。

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