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台頭するアジア系と中東系、その違いは?

オーストラリアへの移住者動向を見ると、アジア系、特に中国系の移住者が増えているのはすでに皆さんご存知のところです。当然、その子どもたちが学校に通い、学校では英語以外の第二外国語として中国語の授業が増えることになります。

以前このコラムに書きましたが、アジア系の子どもたちの成績は優秀で、オージーの子よりエスニックグループの子ども、特にアジア系の子どもたちは宿題を一生懸命にするということが背景にあるようです。

実態を見てみると、ニュー・サウス・ウェールズ州の公立学校への入学者数の22.8%、約22万人は、母国語が英語以外の言語の子どもたちです。一番多いのが中国語(18%)で、次いでアラビア語(12.9%)となっています。

よく言われるのが、中国語のバックグラウンドをもつ子どもたちの優秀さです。HSCでも成績上位者に中国系の子どもたちの名前が並びますね。

それに成績優秀者の選抜・専門校であるセレクティブ・スクールへの入学率も高く、中国系の子どもたちは受験者の約半数の52.6%が合格しています。次いで、ベトナム系(合格率38.2%)、韓国系(同37.8%)と続きます。セレクティブ・スクール入学者のうち半数以上が、母国語が英語以外の移住者の子どもたちです。

このようにアジア系の子どもたちの活躍が明らかなのですが、言語グループとして2番目に多い中東系、アラビア語系の子どもたちはそれほどでもありません。もちろん理由があって、そのほとんどが難民としてオーストラリアに移住してきているからです。

母国が紛争や内戦状態だったり、迫害されている少数民族だったりと、十分な教育環境が与えられなかった子どもたちは、移住後、必死に英語を勉強することになりますが、とくにセレクティブ・スクールへの入学を希望するわけではなく、その多くが普通の公立校への入学を希望しています。

どうしてかというと、その背景には、アジア系に比べて勉強ができる、できないの能力的な違いがあるわけではなく、どうも文化的な違いがあるようです。

アジア系の子どもたちというか親の姿勢は、文明発祥の地としての背景があるのか、アカデミックな成功を達成することに向かっています。一生懸命勉強して優秀な大学に入って、出世を願うという上昇志向ですね。同様に文明の地としての背景をもつ中東系の伝統的な知識や智恵も負けず劣らずのものがあるのですが、どちらかというとイスラム教の宗教的な意識の強さと西洋文明への対抗心とが顕著に現れているようです。そのため公立学校での非宗教的な教育にあまり熱心になれないのかもしれません。

それに難民としてやってきた子どもたちが抱える精神的な状態は、セレクティブ・スクールでの成績重視の競争的な学校環境には向いていないのかもしれません。もっと普通の公立校でのびのびと学ぶことの方が合っているようです。

オーストラリアへの移住者でいえば、国の民主化と発展につれて、これから中東系の人たちはもっともっと増えてきます。そのうちアジア系を追い越す可能性もあります。

アジア系と中東系の躍進が活発ですが、いずれにしても日本人はすでにその位置を中国人や韓国人に奪われて、非常にマイノリティな少数民族としてオーストラリアに存在しているのは確かです。(まあ、食や文化の評価でかろうじて救われていますが)

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