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ランナーに多いケガ ③ ヒザのお皿周辺の痛み

ランナーのケガの中でも、最も多いのがヒザのケガです。

そのヒザのケガの中でも1位2位を争うほどよく見かけるのが、

膝蓋大腿部痛症候群(シツガイダイタイブツウショウコウグン)と呼ばれる疾患です。

 

これは、大腿膝蓋関節(膝のお皿と大腿骨でできている関節)が過度の刺激を受けることによって、

炎症がおこり、ヒザのお皿の周り、または大腿膝蓋関節(ヒザのおくの方)に痛みを生じさせます。

 

普段歩いているときも、一歩一歩かかとで地面を蹴るたびに、大きな負荷(ショック)を大腿筋(太ももの筋肉)、そしてこの関節にかけています。

しかし、大腿筋がショックの大半を吸収してくれるので問題はおきません。

ところが、ランニングになるとショックを吸収しなければならないペースがあがり、

各ランナーの大腿筋のショックを吸収できる許容量を越えてしまうこともあります。

 

そうなると、許容量を超えたショックを吸収するのは大腿膝蓋関節の役割になってきます。

関節の表面は軟骨でできていますが、この関節が絶えずショックを受けていると軟骨への負担が増え、

軟骨が圧迫されたり、変形したり、少し削げたりして、炎症がおき、痛みを感じるようになります。

 

上記の状況を招くメカニズムは大まかに以下の2つのタイプに分類されます。

1.下肢の柔軟性の欠如

2.下肢の安定性の欠如

              

 1.のケースは、

一般的に男性に多く、腸脛靭帯(太ももの外側部の靭帯)などの柔軟性の欠如と

その筋肉部分(大腿筋膜張筋)などのオーバーユースからくる痙攣によって

ヒザのお皿がヒザの外部に過剰に牽引され大腿膝蓋関節のバランスが崩れて軟骨に過度の負担を強いることによって生じます。

この場合、炎症を抑える治療を行いながら、この靭帯と筋肉を伸ばすための適切なストレッチをリハビリに取り入れることが肝心です。

また、治療期間中であっても急性初期の炎症が治まった後は、痛みが出ない程度に理学療法士(フィジオセラピスト)の指導のもと

ランニングを再開、継続することが大事です。

これは、体力を低下させないためでもあり、靭帯、筋組織の軟化を防止して他の症状を併発させないためにも大切です。

 

2.のケースは、

一般的に女性に多く、大腿筋、臀部の中臀筋、小臀筋、ふくらはぎの筋力の弱さが主因と考えられています。

ランニング中、かかとが地面を蹴るたびに上記の筋肉が下肢に伝わるショックを吸収しています。

しかし、これらの筋力が十分でないために、地面についている方の下肢が不安定になり、

ひざ関節がぐらぐらと少し揺れたり、ひざが内側に入り込んでしまったりします。

これを何千歩と繰り返していると、大腿膝蓋関節の軟骨を1.と同じように過度の負荷をかけることになってしまう訳です。

もちろんこのケースでもリハビリはとても大事です。

理学療法(フィジオ)では、急性期の炎症を解消し、そして弱っている筋肉を特定し強化するため運動療法を用いて回復につなげます。

ランニングを中断している間は自転車や水中ランニングなどの低〜中負荷で痛みを伴わない運動を平行して行うことも必要でしょう。

 

 

 

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