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スピードカメラなんかなくなってしまえ!

スピードカメラの役割ってなんなの?

(写真:RTA)

 

シドニーのあるニュー・サウス・ウェールズ州には、141カ所に172台のスピードカメラが設置されています。もちろん速度違反を取り締まるのが目的です。

 

設置場所はこれまで多くの人がスピード違反を犯す場所です。当然スピードの出し過ぎによる事故が多く発生する場所でもあります。そんな場所にスピードカメラを設置すると、ドライバーの安全運転を促すことになり、交通安全の目的が達成されることになります。

このほど発表された州政府の会計監査報告によると、固定のスピードカメラが設置されてから3年間で、交通事故が26%減少し、事故死者数も3分の2に減りました。

ところがスピードカメラは交通安全だけが目的ではなく、罰金を科す機械としての役割もになっています。シドニー市内Moore ParkのCleveland Streetに設置されているスピードカメラでは、年間1万6,690件の速度違反の通知を発行し、総額222万2,044ドルもの罰金を徴収しています。まさにお金を生む機械となっているわけですね。一日に45人が捕まり、一日平均約6,000ドルの税収が生まれていることになります。

いわば「安全にはそれほど寄与していないが、お金をたくさん集めてくれる」カメラは、州政府にとっては嬉しいものです。でもドライバーにとっては煩わしいもので、それほど危険な道路でもないのに、スピードカメラがあるので法定速度をしっかり守って走るため、いたずらに渋滞が生じてしまうことにもなります。

州政府は「税収増加のためだけに設置している」との批判をかわすため、監査報告であまり有効性がないとされた38台のスピードカメラを停止し、これらのカメラを撤去すると発表しました。まあ、州政府は、「罰金をかき集めるためだけで交通安全の効果がないスピードカメラはすべて前政府が設置したもの」ということで、有権者の人気を得ようという魂胆が見えますが、スピードカメラの本来の目的からすると当然のことですね。

この報告書では、さらに踏み込んで、きちんと制限速度を守るドライバーには、5ドル相当のロト(宝くじ)を贈呈して、安全速度を守るように奨励してはどうかとまで提案しています。

日本では「ねずみ取り」などと称されるように、ドライバーを騙すようなテクニックでの違反取り締まりが一般的です。よもや設置したスピードカメラを撤去するなどあり得ません。かなりの罰金収入が見込まれれば、喜んで継続使用するはずです。

よく言われるように、「スピード違反取り締まり月間」「酒気帯び運転取り締まり月間」などと称して、恣意的に突然取り締まったり、厳重注意で済むちょっとした軽犯罪でも取り締まり月間に運悪く当たってしまうとしっかり捕まったり、安全運転の啓蒙・奨励の目的が検挙数の達成という目的にすり替えられるなど、そんな恣意的な行政がまかり通っています。

今回のスピードカメラの見直しは、オーストラリアでの行政のあり方を学ぶことにもなり、日本の交通行政について考えさせてくれました。

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