8月9日は5年に一度の国勢調査の日です。この日は「Census Night」と呼ばれています。オーストラリアは日本と違い戸籍や住民票の登録制度がないために、国勢調査をする場合、調査日(今年は8月9日)にオーストラリア国内に居る人すべてを対象に調べます。ですから、たまたま観光旅行でやって来てホテルに泊まっている人もカウントされることになります。
現在、オーストラリアの人口は、2,268万3,927人で、1分45秒に一人生まれて、3分43秒に一人亡くなっています。そして移民の人が3分11秒に一人増えています。ということで毎時37人がオーストラリアの人口に加わるという計算になります。こんな数字も国勢調査によって明らかになってきます。
オーストラリアには約980万世帯があります。このすべての世帯に調査票が配達されて、9日に一斉に記入されて、調査が行われるのですが、前回の2006年の国勢調査ではじめてインターネットによるオンライン入力によるeCensusが導入されました。この時は、約8.4%の人がインターネットを利用して調査に回答しています。オーストラリア統計局(ABS)では、前回を大きく超える30%の利用を見込んでいます。
eCensusはこちら
この調査は国民の義務で、調査に協力しなかった場合、罰金が科せられます。この調査、名前や年齢はもちろん、宗教や職業、給与、学歴など、かなり個人的なことまで回答を求められています。ですから調査員にそのまま渡したくないという人もいます。そういう人には封筒を用意したり、オンラインでの回答をすすめています。
国勢調査のガイドはこちら、Census Help
とは言っても、多くは調査員が調査票を回収する方法で、今回の調査のために2万9,000人の調査員がこのために雇用されました。この調査員ですが、番犬に襲われるということがかなりあるようで、1986年の調査では、約9%の調査員が被害に遭っています。なかには馬や豚、エミューに襲われた人も…。
この国勢調査はオーストラリア連邦結成後の1911年に初めて全国規模で実施されました。それまでは各州植民地で行なわれていました。最初の調査は、ニュー・サウス・ウェールズ植民地で1788年に実施されました。その時は、年齢・性別・法的身分のみの調査でした。調査の目的は、英国から植民地に食料やその他の物品をどのくらい送る必要があるのかを調べることでした。
1911年にはじまった連邦政府としての国勢調査ですが、当初は10年毎に調査をしていました。ところで、1911年の調査では質問項目に聾唖者の有無がありました。当時は子どもたちの間で聾唖者がかなりいたようです。原因は不明でしたが、子どもたちが生まれた時期に流行っていた風疹が原因ということが、世界で初めて、オーストラリアの国勢調査の結果により明らかになりました。
ちなみにアボリジニの人たちは都市部の住民を除き国勢調査の対象に入っていませんでした。1967年の憲法改正国民投票で国勢調査から除外するという規定の廃止が決まり、初めてアボリジニの人口も調査されることになります。
今年の国勢調査は第1回の1911年から100周年という記念の調査です。調査結果は、地方自治体の都市計画に利用されたり、人口に応じて配分されるGSTの各州の分配額に反映されたりと、政府の政策にいろいろと使われます。もちろん言語や宗教など国勢調査によりオーストラリア国民の実態が浮かび上がるわけで、集計結果の発表が楽しみです。
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